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日米貿易協定は本当にウィン・ウィンか? 安倍とトランプの友情は1年後に決裂する=近藤駿介

ウィン・ウィンの関係は来年夏まで

今回の日米首脳会談は、トランプ大統領と安倍総理が共に間近に迫った選挙を乗り切るという共通目標を持っていたことによって「Good deal」が成立した。しかし、これが両国にとって「Good deal」であり続けられるのは、来年夏の参院選前後までである可能性が高い。

1年後のトランプ大統領は再選に向けてより大きく、より効果的で具体的な「Good deal」を求めるようになっているはずである。そうした中、既に3選を果たし2021年には退陣することが決まっている安倍総理に対して「シンゾーとの友情があるから自動車に関税をかけられなかった」という甘い態度に出ることは考えにくい。

換言すればトランプ大統領と安倍総理の「友情」は、終幕に近付いているということである。トランプ大統領の「友情」は「与しやすいDeal相手」に贈られる称号でしかないからだ。

安倍総理が「自由貿易の旗手」を自認するように、自由貿易信者が多い日本国内ではトランプ大統領を保護主義的だという批判が強い。しかし、安倍総理が掲げる自由貿易というのは理念であり、トランプ大統領が解決しようとしている貿易赤字は現実であることを無視した議論は危険を孕んだものである。こうした理想と現実の戦いは議論で解決できるものではなく、トランプ大統領を説得することは不可能だと考えておいた方が賢明である。

貿易摩擦は「黒字側が譲歩」するしかない…

忘れてならないことは、善悪の問題ではなく現実問題として、貿易不均衡問題は貿易黒字国側が歩み寄る形でしか解決することはないということである。

つまり、日米関係においては日本側が何かしらの妥協を迫られることになる。それが、関税や数量制限といった「」なのか、あるいは「為替(円高)」なのか、はたまたその両方なのかは定かではないが、日本がは何かを妥協しなければならない立場にあることは認識しておかなければならない。

Next: トランプの説得は不可能。自由貿易での経済発展は絵空事か…

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