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日米貿易協定は本当にウィン・ウィンか? 安倍とトランプの友情は1年後に決裂する=近藤駿介

トランプの説得は不可能

「今、日本から米国に輸出される自動車は174万台ですが、トヨタやホンダといった日本企業がアメリカ国内で生産している自動車は、その2倍以上、377万台にのぼります。自動車工場、部品工場、運送サービス、ディーラー。150万人もの雇用をアメリカ国内に生み出すことで、アメリカ経済に多大な貢献をしています」

安倍総理を始め日本国内では、日本の自動車メーカーが米国経済に多大なる貢献をしているという意見が強いが、こうした論理がトランプ大統領に通用することは期待薄である。

それは、トランプ大統領の立場から見れば、40%近いシェアを持つ日本の自動車メーカーが果たしている現在の貢献は、本来は「ビッグ3」が果たしていたはずのものだともいえるからだ。

自由貿易は現実世界では成り立たない?

極論すれば、貿易自由化が世界経済を発展させるというのは教科書の中にしか存在しない幻想である。少なくともトランプ大統領はこうした認識を持っているはずである。

自由貿易理論の前提は「各国は自国の得意とする生産分野(比較優位産業)に特化し、比較優位商品を輸出して比較劣位商品を輸入することにより、資源の再配分と所得増大という2つの効果、つまり貿易利益を実現できる」というものである。

この理論を日米関係に当てはめれば、日本は比較優位にたつ自動車を専ら輸出し、米国は比較優位にたつ農産品を日本に輸出すればいいことになる。しかし、人口や風土、習慣の異なる二国間でこの理論が成立するのは非現実であるし、それで貿易不均衡が解消される保証はどこにもない。

自由貿易が成り立つための重要な要素の1つは、自由でフレキシブルな為替市場の存在である。貿易不均衡が生じれば、貿易黒字国の通貨が高くなることで不均衡を解消していくというメカニズムが働くことである。

しかし、1985年のプラザ合意で強制的に円高にしても日米間の貿易不均衡は解消されなかった現実に象徴されるように、貿易額を大幅に上回る資本取引が行われている社会では、為替市場は貿易不均衡解消という役割を果たせなくなっている。保護主義的なトランプ大統領の出現は、自由貿易理論に対するアンチテーゼだといえる。

Next: 「Good deal」の効力は長くて1年。その後の日本が直面する危機とは…

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