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日本株のトレード経験は、世界の他の市場で通用する?しない? – 矢口新の『トレードセンス養成講座』

あなたの答えは、残念ながら 不正解 です

今回の解答

個別銘柄に関する問題

日本株のトレードに取り組んできたあなたは、その過程でさまざまな商品の値動きに興味を持つようになりました。為替や原油・金などのコモディティ、米国株、大幅調整中の中国株、新興のベトナム株など、いつかチャレンジしてみたい投資対象がたくさんあります。そこで問題。日本株のトレードで培った経験――チャートの活用法やリスク管理など含む――は、日本株以外の市場でも通用すると思いますか?

正解は・・・
(1)日本の株式市場での経験は、世界のどのような市場でも通用する
チャートは相場の値動きの忠実な記録です。中でも代表的なローソク足は、江戸時代に大阪・堂島の米相場で使われたのが最初だといわれています。それが今では、キャンドルチャートとして世界中で使われています。

また、ローソク足の解説書として著名な『酒田五法は風林火山』の題にもある“風林火山”は、紀元前古代中国の『孫子の兵法』からの言葉です。現在でもこの『孫子の兵法』を信奉している相場師は大勢います。近代の心理学をもって、相場にアプローチする人もいます。相場への取り組み方は、古今東西、普遍的なものだというのが、これらのことからわかります。

したがって、チャートを見るだけで、世界中どの市場にも対応することができます。

私は、為替、債券から入って、今はもっぱら日本株を扱っています。米国債がニューヨークの原油相場を見ながら取引されていた時期があったことで、商品相場の値動きにも親しみました。

取り扱う商品が変わっても、基本的な値動きのパターンは同じなので、相場の理解にもっとも役立ったのはチャートです。いまでは、市場で取引される通貨や商品だけでなく、自分の収益やメールマガジンの購読者数の伸びなども、頭の中でチャート化しています。「まだ下値はありそうだ」とか「横ばいの時期から上離れた」などと見ているのです。自分や他人の人生の波をも、チャートとして半ば客観的に見ています。

しかしチャートには本質的な限界があります。それは、どのチャートも過去から現在までの値動きしか記録していないことです。一方で、損益の結果は、未来の値動きで決まります。つまり、どこまでいっても、明日のことはわからないという現実からは逃れることができないのです。

そこで重要となってくるのが、損少利大に表されるようなリスク管理の手法です。思惑から外れた場合の損失をできるだけ小さくし、当たっているときの利益を可能な限り大きくすることによって、トータルでのプラスを確保しようとする行為です。

よく「チャートは当たらない」という人がいますが、間違った表現です。当たるも当たらないも、チャートが提示しているのは過去の値動きの忠実な記録でしかなく、未来の部分は空白です

一方で、売り買いのサインを出すテクニカル分析がしばしば当たらないのは、それぞれの市場や時期によって、参加者のポジションの取り方が違うからです。したがって、ある時期の日本株で通用したテクニカル分析を、中国株やベトナム株で応用しても、必ずしも通用するとは限りません。

もっとも中国株やベトナム株のようなケースに関しては、儲かりそうな形のチャートだからではなく、長期的なファンダメンタルズに注目しているのだと思います。その場合には、その材料が崩壊するシナリオを想定してなくてはなりません。

一般に、新興国や資本市場が未成熟の国々は、
・開示資料の信頼性が低い
・法律が変わりやすい
・内政事情に不安がある
・為替リスクが大きい
・流動性に欠ける

などといった不安材料があります。とはいえ最初の3つに関しては、日本でも大手証券の粉飾決算、大手メーカーのリコール隠し、大手食品メーカーの衛生感覚の欠如など多発していて、大きなことは言えません。信頼性が低いことを承知で投資することの危険性と、安全だと信じて裏切られることの危険性とを秤にかけると、日本株の方が安全だとは必ずしも言い切れないのです。

また、日本人が日本株に投資する場合には「ゼロ」である為替リスクは、外国物への投資には存在しますが、それは同時に為替益も期待できるということですから、一概に問題点とはいえません。

ここで、最も注意したいのは流動性なのです。流動性リスクとは、転売に当たって、期待通りの価格で売れるかどうかを問うリスクです。日本株のように参加者が多く出来高の大きな市場は、リスクが少ないと見なされます。しかし、中国株やベトナム株のように、相対的に流動性の低い市場では、下げ相場になると、なかなか思うようには売れません。そんな市場では、全部取ろうと欲張らずに、まだ上がりそうなときに売り抜けることがポイントです。

ドル円のような主要通貨の取引は流動性には問題がありません。一方で、ボラティリティが小さいので、レバレッジを大きくすることで対応します。FX取引では、どんな場合にでも、損切り幅を小さくすることが必要です。

資金をより有効に活用しようとする「投機」は、資金が寝ることを嫌います。いつか日本株は潮時だと思ったなら、フットワークを軽くして、動きのある市場に向かえばいいのです。自分がどんなリスクを取っているのかを認識し、欲張って熱くなりすぎなければ、そんなに危ないものではありません。

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