海外勢の日経先物買いが進んだ「3つの要因」
日本の株式市場で注目すべき点は、7月31日の日銀金融政策決定会合で、日銀が「8月6日以降の買い入れは、6兆円(含む新型ETF3000億円)のうち、4兆2000億円はTOPIX連動型ETF(それまでは2兆7000億円)を、1兆5000億円(同3兆円)はTOPIX、日経平均、JPX日経インデックス400の3指数に連動するETFを対象に銘柄ごとの時価総額におおむね比例するように買い入れる」と、TOPIX連動ETFの購入比率を増やしたことである。
こうした日銀のETF購入配分の変更は、常識的にはNT指数(=日経平均株価/TOPIX)の低下、TOPIX優位の展開になることを想像させるものだった。
しかし、7月末時点で12.86倍だったNT指数は、9月末時点で13.27倍まで上昇し、日経平均がTOPIXを大きくアウトパフォームする反対の結果となった(この2か月間のリターンは日経平均+6.9%に対してTOPIX+3.6%と、TOPIXは日経平均を大きくアンダーパフォームしている)。
日銀がETF購入配分の変更を発表した7月時点で、NT指数が過去5年間の最高値12.79倍を超えて来ており、日経平均が相対的に割高だといえる状況にあったことを考えると、日銀のETF購入配分の変更によってNT指数の低下に賭けるポジションが増えたとしても不思議ではない。
こうしたNT指数の動きから想像されることは、足元の海外勢の先物買は日本株のショートポジションが足かせとなっているヘッジファンドによる買い戻しに加え、日本株をアンダーウェイトにしてきた年金資金等による買い戻し、さらにTOPIX等のBMと戦っている内外の年金資金などがTOPIX型に近付き過ぎた日本株ポートフォリオを日経平均型に近付けるポートフォリオの修正を図る過程で生じた売買である可能性が高いということである。
つまり、足元の日経平均先物を中心とした上昇は、
- 空売り
- アンダーウェイト
- TOPIX型
という3つのショートの修正がもたらしたといえる。
米中の貿易戦争の激化や中間選挙を控え、本来ならば長期投資家は動き難い局面にある。
しかし、10月中に行われる解約通知を前に今年のリターンがマイナスであるだけでなく、S&P500を10%以上アンダーパフォームしている多くのヘッジファンドは動かざるを得ない状況にあるといえるだろう。