経済政策ではトランプと野党が共闘する
トランプ大統領の経済政策が、1兆ドルのインフラ投資や10年間で1.5兆ドルの減税というという財政主導であったことで「共和党=大きな政府」という印象が強まっているが、共和党はもともと「小さな政府」を標榜した政党である。財政負担を伴うトランプ減税も、「小さな政府」を目指す共和党にとっては自然な政策でもあるのだ。
「小さな政府」を標榜する共和党に対して、民主党は「大きな政府」を容認する立場に立っている。2016年の大統領選挙で「民主社会主義」を掲げるサンダース上院議員が台頭したのも、今回の中間選挙で国民皆保険や高等教育の無償化を訴える史上最年少下院議員が誕生したのも、「大きな政府」を容認する民主党ならではの現象だといえる。
人気歌手のテイラー・スウィフトがトランプ大統領や共和党候補の女性やLGBT(性的少数者)などに対する姿勢を批判して民主党支持を表明したことや、オバマケアに関して両党が対立し続けていることなどもあり、民主党とトランプ大統領の政策は相容れないものであるという印象が強まった。
しかし、それは人権や社会保障などの分野の問題であり、経済政策に関する主張は相容れないほど対立しているわけではない。
米中貿易戦争は選挙対策のパフォーマンスではない?
特に対中国政策においては、民主党はトランプ大統領と同様に強硬派である。民主党のこうした基本姿勢はオバマ前大統領が中国に対して弱腰であり過ぎたことが中国の台頭を許す要因になったという反省も加わり、一段と増していると考えられる。
事実、2016年の大統領選挙で民主党の大統領候補だったヒラリー・クリントン氏は「私が大統領になれば、(中国の指導者は)規則に従わなければならないだろう」と述べ、貿易問題ではオバマ氏よりも厳しい路線をとっており、不公正な貿易慣行をめぐって中国政府に挑むと誓っていた。
日本ではトランプ大統領が中国に仕掛けている貿易戦争は中間選挙に向けた政治パフォーマンスであり、中間選挙が終われば落としどころを探ることになるという見方が根強い。11月1日に米国側から持ち掛けた米中首脳による電話会議が開催されただけで「貿易戦争打開」への期待が高まったのも、こうした見方が根強いことの証左である。
しかし、民主党の中国に対する姿勢がトランプ大統領と方向として同じであるとしたら、こうした見方は楽観過ぎると言わざるを得ない。