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投資信託と賢くつき合う。簡単!「運用報告書」の読み方、使い方=カン・チュンド

実例をあげて徹底解説!交付運用報告書の読み方、使い方

具体例をあげてみましょう。

こちらは『フィデリティ・欧州中小型株・オープン Aコース(為替ヘッジ付き)/Bコース(為替ヘッジなし)』の交付運用報告書[PDF]です。

2ページ目を見ていただくと、「1万口当たりの費用明細」と載っていますね。ここでは、「Aコース(為替ヘッジ付き)」の方を例にあげましょう。

項目 金額 比率
(a)信託報酬 149円 0.748%

というように、ちゃんと金額ベースと比率・パーセントの両方が載っています!これは分かりやすい。

「えっ、でも、カンさん。信託報酬(運用管理費用)0.748%って、安くないですか?これって、アクティブファンドでしょ?」

あっ、失礼……。ココ、皆さん注意してください。当該ファンドは、「6ヶ月に1回、決算を行っている」ファンドです。

ちゃんと、「第38期(2014年12月2日~2015年6月1日)項目の概要」って書いてありますね。すなわち、この0.748%って、「6ヶ月間の数字」なのです。

なので、年率で信託報酬(運用管理費用)をイメージするためには、0.748% ×2=1.496%としないといけません。

実際は、決算日の1万口当たりの値段(基準価格)で信託報酬(運用管理費用)を出しているわけではなく、期中(この場合は6か月間)の、平均の基準価額に基づいて出しているのです。

信託報酬をどう分配したのかも一目でわかる

同資料でもう1つ注目してほしいのは、信託報酬(運用管理費用)の取り分です。

「えっ?信託報酬(運用管理費用)って、運用会社販売会社受託会社(信託銀行)の3社で分け合うのですよね?」

はい、その取り分も、ちゃんと開示してくれています!

項目 金額 比率
(投信会社) (71) (0.356)
(販売会社) (68) (0.343)
(受託会社) (10) (0.049)

いいですか、左側の数字が金額ベース、右が比率・パーセントを示しています。こうして見てみると、販売会社って、けっこう取り分が多いですね(投信会社とは運用会社のことです)。

その他の諸費用もしっかりと明示

さあ、これだけでは終わりませんよ。さらにご覧ください。

項目 金額 比率
(b)売買委託手数料 25 0.127
(株式) (21) (0.103)
(投資信託受益証券) (4) (0.020)
(投資証券) (1) (0.004)

ん?これは、いったい何でしょう?

そうです、投資信託が株式などを売り買いするとき、売買手数料を支払っていますが、あれって全部、私たちファンド保有者が負担しているのですよ!これも左側が金額ベース、右側が比率・パーセントです。

さらに同資料を見ると

項目 金額 比率
(c)有価証券取引税 58 0.289
(d)その他費用 11 0.054

これらも、継続コストとしてかかっています。当該ファンドは、ヨーロッパの株式を組み入れているので、「有価証券取引税」という税金がかかる国もあるのです。

(d)のその他費用には、有価証券の保管や、資金の移転などのための「保管費用」、監査法人に支払う「監査費用」、法定書類の作成・提出等にかかる費用、法律顧問、税務顧問に対する報酬などが含まれています(けっこう、いろいろかかるんだ)。

ファンド保有者が確認すべきはトータルコスト

とにもかくにも、同資料のAコース(為替ヘッジ付き)で確認すべきは以下のところです。

合計 243 1.217

そう、この合計こそが「トータルコスト」という意味。243円、1.217%ですね。1.217%×2=2.434%ですから、なんと、当該ファンドAコース(為替ヘッジ付き)は、年間で2.434%のトータルコストを負担しているイメージなのです。

「えっ、だれが負担するの?」

私たちファンド保有者ですよ……。

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カン・チュンドの 投資信託 テッテイ 攻略法』2015年9月24日号より一部抜粋、再構成
※太字、見出しはMONEY VOICE編集部による

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