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中国、経済大国から転落へ。トランプの策略で経常赤字・ウソ統計・高齢化の3重苦が襲う=勝又壽良

GDPを粉飾の狙い

地方政府が、国家統計局職員を威嚇してまで偽データを提出したところに、中国全体の「国家主義=GDP万能主義」が表面化していった証拠がみられます。

2010年、日本をGDPで抜いて世界2位の座を占めました。2009年以降は、GDPにゲタを履かせたのです。この勢いに乗って、「世界覇権」獲得へとエスカレートしたのでしょう。愚かな話です。

習近平氏は、偽りのGDPを知りつつ、さらに不動産バブルでGDPを押し上げる作戦を立てたのです。結局、これが墓穴を掘ってしまったのです。

「一人っ子政策」廃止の議論は、2010年以前に出ていました。この廃止の時期を誤り2015年まで延ばしてしまい、合計特殊出生率回復のチャンスを失ったと言えましょう。

GDP統計のカラクリと、不動産バブルに依存した経済政策に傾斜していく時期が、妙に一致するのです。その裏で、習近平氏が国家主席2期10年の任期制を外させる。あまりにも符節が合いすぎています。

GDPニセ統計は、習近平氏の国家主席の任期延長の材料に利用されたと見られるのです。

中国経済は空洞化へ

中国経済は、GDPニセ統計に象徴されるように空洞化が進行しています。ここまで書いて来たことを要約して、確認したいと思います。

第1は、合計特殊出生率の急低下によって、今後の生産年齢人口比率の急低下が見込まれることです。人口高齢化がいやが上にも促進されます。この結果、中国政府系シンクタンク、中国社会科学院は2027年に人口減に転ずると予測しています。既にピークを過ぎたとの分析もあります。働き盛りの年代は減り始め、習近平指導部は景気低迷に加え人口減少の難題に直面しています。

第2は、人口高齢化が貯蓄率の低下をもたらします。年金受給世帯の増加は、必然的に貯蓄率を引下げます。これが、国際収支の経常収支面にマイナス効果として表れます。

次に、中国と日本の対GDP比の経常収支黒字率を上げます。

<対GDP比の経常収支黒字率>

     中国    日本
2013年 1.54%  0.89%
2014年 2.24%  0.76%
2015年 2.71%  3.10%
2016年 1.80%  3.94%
2017年 1.37%  4.03%
2018年 0.73%  3.62%  (IMF予測)

中国が、日本と比べて劣勢にあることは明白です。

中国が、一帯一路で日本の経常黒字を狙って「ニーハオ」と笑顔を浮かべて接近してきた理由は、すべてここにあります。中国経済は、日本へ急速に接近することなしに、生存できないと言っても過言ではないでしょう。これもすべて、人口政策の失敗がもたらした面が大きいのです。

以上のように、中国経済は空洞化が進んでいます。

それでも、「人口世界一」という誤ったイメージで、安全保障上の危険対象国と見られています。それには、経済実態を無視した軍拡が理由です。

軍拡続けば第二ソ連

米国のペンス副大統領は4月3日、インド太平洋地域における中国の台頭でもたらされる安全保障上の課題に注意を払うよう、北大西洋条約機構(NATO)に呼び掛けました。ペンス氏は、ワシントンで開かれたシンクタンク主催のNATO創設70周年記念フォーラムで演説し、同地域の平和と安定を維持するために、NATOが米国に協力するよう期待すると述べたものです。<中略>

ペンス副大統領の演説は、中国が世界の普遍的価値観に挑戦する無法国家という位置づけです。確かに、そういう面がきわめて強く警戒すべき国家です。しかし――

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勝又壽良の経済時評』(2019年4月8日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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勝又壽良の経済時評

[月額864円(税込)/月 毎週木曜日(年末年始を除く)予定]
経済記者30年と大学教授17年の経験を生かして、内外の経済問題について取り上げる。2010年からブログを毎日、書き続けてきた。この間、著書も数冊出版している。今後も、この姿勢を続ける。

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