土地
「日本の地価が3分の1になる!」では、人口動態と地価の関係を詳細に研究。経済活動や地価の価格は現役世代負担率(生産年齢人口に対する高齢者人口の割合)によって大きく影響を受け、これが大きく低下する日本では地価が2010年から2040年にかけて62%下落する可能性があると述べられている。
金
金は金利を生まず、企業の様に成長しない。世界的な需給状況で値上がりすることはあるが、それ自体が収益を生み出していくものではない。金をはじめとした貴金属はあくまでもリスクヘッジの1つとしての役割はするかもしれないが、資金運用のメインに据えることは、お勧めできない。
株式
資産運用の本命は、株式投資。株式こそ、最もインフレ対応力があり、長期的に成長性の高い投資対象。株、国債、預金、不動産のインフレ考慮後の実質的なパフォーマンスを示し続けていることがさまざまな研究から知られている。
投資信託の過去のデータを見ると、アクティブ投資によって運用されるアクティブ投信は、トピックスや日経平均に連動しているインデックス投信に負けているということが示されている。
EC
現在の日本のEC化比率、つまり消費のうちインターネット経由の割合は4%程度。アメリカとイギリスは10%を超えている。EC化比率は数年程度で米英並みの10%までいくのはほぼ確実。「ひふみ投信」では今でも楽天やスタートトゥデイなどにそれなりのウェイトで投資しているが(15年5月現在)それは以上のような理由。15年に新規上場したばかりのショーケース・ティービーの株を相当買った。それは、発行済み株式総数の12%程度。ショーケース・ティービーはスマートフォン向けのECサイトのコンサルティングと製作の事業をしている。
ロボット
中長期的に予想される2つ目のトレンドは「ロボット普及の拡大」。ロボットは今後の労働人口の減少を補うという期待がある。市場規模は、2015年~2020年の5年間で、製造向けに6000億円→1.2兆円(2倍)、非製造向けに600億円→1.2兆円(20倍)。
排ガス規制
2017年秋に欧州の排ガス規制が大幅に強化される。2017年は電気自動車の本格的な普及元年。日本においては、電気自動車向けの部品、素材、機械関連から値上がり銘柄が出てくると予測。そうした動きをかなり早い段階から読んで、さまざまな戦略を打ってきたのが「日本電産」です。日本電産はM&Aなども行いながら電気自動車に必要なモーターのラインナップを充実させ、その分野の売り上げを順調に伸ばしてきた。本格的に花開くのはこれから。
介護サービス
富士経済の予測によると、介護サービスの市場規模は2014年に1.1兆円だったものが2020年には2.1兆円程度に。2025年には団塊の世代が75歳の後期高齢者を超えることから、2020年以降も介護サービスの市場規模は一段と大きくなる。
企業の選別
期間限定のサブ戦略は、「低いROEが修正されることで株価上昇余地の大きい銘柄を狙う」というもの。
- PBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込んでいて、
- ネットキャッシュ(現預金や有価証券から有利子負債を引いたもの)を時価総額の30%以上保有している
→余剰資産の有効活用によって、ROEと株価を向上させる余地が大きいと思われる。
おすすめの投資信託
投資信託の成績を見るための指標としてはシャープレシオが優れている。シャープレシオというのは、「リターン÷リスク」で計算される指標で、高い数値ほど優秀。「R&Iファンド大賞」というのは、日本経済新聞社グループの信用格付け会社である格付投資情報センター(R&I)が主催する投資信託に対する表彰制度。基準は過去3年間のシャープレシオ。下記はランキング上位に入っている。
- 直販投信であるコモンズ投信の「コモンズ30ファンド」
- 鎌倉投信が運用する「結い2101ファンド」
- 直販投信ではない、大和証券系列の大和住銀投信投資顧問の「大和住銀日本小型株ファンド」
- 「SBI中小型割安成長株ファンドジェイリバイブ」
- レオス・キャピタルワークスの「ひふみ投信」
ひふみ投信の宣伝でもあると思いますが、実際に、トピックスや日経平均よりも上回る実績を数年間継続しており、尊敬できる著者であります。今後とも、独立系の投資運用会社が世の中に多く出てきてほしいものです。
『稼ぎ続ける短期トレーダーの読書感想文』(2015年12月11日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
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2007年1月から、本格的に株式投資を始め、現在では国内株式、先物、オプションの短期、中期トレードを生業としています。利回りは、2007年;34%、08年;163%、09年;25%、10年;14%、11年;84%、12年13%、13年76%、14年42%。 主に経済関連ですが、月に数冊の本を読んでいます。ほとんどが発刊間もない本です。自分自身の理解のためと、忙しくて本を読めない方の参考になればと思い、メルマガの発行に至りました。よろしくお願いいたします。