東証一部へ市場変更するための要件
※参考:一部指定・指定替え・市場変更基準
この表が、東証一部に市場変更するために必要な要件の一部です。
いくつかポイントがあるので、おさらいしておきたいと思います。
a. 最近2年間の利益の額の総額が5億円以上であること
b. 時価総額が500億円以上(最近1年間における売上高が100億円未満である場合を除く)
初めに目に付くのがこの2つの要件です。実際にはこれらの1つを満たせばいいわけですが、どちらもそんなに簡単な条件ではないことはご理解頂けるかと思います。
1つ目は、東証一部に上場するためには、直近2年間の利益の合計が、5億円以上あることが条件になっています。つまり大赤字のままの会社は、東証一部に上がれないことになります。
2つ目は、時価総額が500億円以上という要件です。時価総額があまりにも小さい会社は、東証一部にふさわしくないと考えられています。
この時価総額500億円以上というのは、一般的に、機関投資家が投資対象として見ることが出来るかどうかの閾値とも言われています。
機関投資家は、非常に大きな金額を投資運用しているため、一社当たりの投資額もそれなりに大きくある必要があります。というのは、機関投資家が調査できる会社の数は限られていますので、例えば1,000億円を運用している機関投資家が、一社あたり1億円ずつ投資をする、というようなことは決して出来ません。
時価総額が小さい会社に機関投資家が投資できない理由は、自分達の持分が大きくなりすぎると、売却時に、自分たちの売却行為によって株価が大きく下がってしまい、売却益を取りにくくなるからだと考えられます。
いずれにしても、機関投資家の投資対象になるためには、時価総額が最低でも500億円ぐらいは必要だと覚えておいて損はないと思います。
2つ目に目につくのが、発行している株式の35%以上は市場で流通している必要がある、という点です。
じげんの場合もそうでしたが、日本では創業者が6割あるいは7割以上のシェアを持って上場することがよくありましたが、そのままの条件では東証一部に登場することはできません。
創業者のシェアが高すぎる場合は、東証一部に上場する際に創業者が株式を売り出す必要があります。
目安としては、今回のじげんのように、創業者の持分が約50%を下回るレベルまで売却する必要がある、と覚えておけば良いのではないでしょうか。