結局どっちが儲かるの?相場環境で異なる期待値
それでは、どちらの方が儲かるのでしょうか。
もちろん、一概には言えません。ただ、その時々の相場状況で銘柄選択が変わってくるべきだと思います。
例えば、成長株の平均PERが30倍のタイミングなら、そこからさらにバブルが起きない限りはPERの上昇は見込みにくいでしょう。したがって、成長株投資は必ずしも有利ではありません。
逆に、成長株の平均PERが15倍のタイミングなら、PERが30倍の相場になるだけで2倍の利益が見込めます。(もちろん、成長株であり続けることが前提です。)
つまり、相場が良いときは無理に成長株に投資せず、相場が悪くなった時に成長株に投資すると、より高いパフォーマンスが望めるのです。
割安株は下値を抑えることでトータルのパフォーマンスを上げることを目指すものですから、相場にかかわらず有効性は高いと言えます。ただし、劇的なリターンをあげられるものでもありません。
つまり、相場が悪いときにこそ成長性を重視し、逆に相場が良いときは割安株またはキャッシュで守りを固めるのが王道です。PER等の指標を長年定点観測していれば、今が良い時なのか悪い時なのか見極められるようになります。
今はどうすべきか?私のポートフォリオ戦略
足元で言えば、中国の景気指標は明らかに悪化しています。10年にわたって続く世界的な景気拡大も終盤を迎えつつあり、不穏な空気が続いています。あえてPERの高い成長株に投資する局面ではありません。
もちろん、個別銘柄で安くて良いものを探しているのですが、それがわんさか出てくるような状況ではないのです。どの銘柄も方向感がつかめません。
だからこそ、私は大きく下げた時に備えて、買うべき成長株をリストアップしています。いわば準備期間です。価格を気にせず分析していると、買いたい銘柄がどんどん出てきます。
これから大きく下げた時はチャンスです。その時は、残しておいた資金を積極的に投入し、かつ一部の割安株を売却してリストアップした成長株に入れ替えることで、ポートフォリオの期待値を上げることができると考えます。
もし割安株で含み損が出ていたとしても、それは仕方がありません。相場の先行きは読むことが困難だからです。入れ替えのために損切りすることは、決して悪いことではないのです。
このように、状況に応じてポートフォリオの入れ替えを行うことも時には必要です。自分なりの相場感を持ち、ポートフォリオの期待値を最大化することが、投資家にとって必要なスキルの一つなのです。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2019年6月19日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。