日本は融和策に乗るべきではない
従来の日韓紛争では、互いに最後は「腹芸」で落としどころ探してきた。結果的に、それが韓国を甘やかせた。日本は、日韓併合という植民地政策の「借り」を、こういう不条理なバーター取引で穴埋めしてきた。だが、日韓基本条約によって、その「借り」はすでに解決済みである。
韓国大法院が、今回のような国際法違反の判決を出した裏には、日本への甘えがあったであろう。「人権に時効はない」と大見得を切った判決だが、日韓基本条約で解決済みなのだ。
司法が、条約に判断を下すことは国際的にタブーである。韓国は、そのタブーに挑戦した判決を出したのである。
この裏には、文大統領の強い意志が働いていた。昨年8月、文氏は大法院の判決を誘導するような演説を行っている。文氏は、口を開けば「韓国は三権分立だから、判決を尊重しなければならない」と逃げ口上に使っている。
だが、今回の「チョ・グク問題」を見ればわかる通り、大統領が公然と検察捜査に圧力を加えているのだ。
文大統領による徴用工賠償発言は、「人権に時効はない」と言うほど高尚なものでない。「反日」への利用がすべてである。
徹底した反日行動を行って韓国世論を引きつけ、次期大統領も進歩派から当選させる党利党略に過ぎない。
日本が、こういう見え透いた文氏の戦術に手を貸して、融和策に乗るべきでない。韓国の蒔いた種は韓国に刈り取らせる。外交面で二度と党利党略を行なわせない。そういう教訓を身につけさせることだ。
中国の異常減速で右往左往
ここへ来て韓国に、困る事態が持ち上がっている。米中貿易戦争によって、世界経済が同時減速の様相を呈してきたことだ。
とりわけ、中国経済の減速が目立ってきた。
韓国は、対中輸出依存度が全体の4分の1を占めている。中国のGDP成長率が1%ポイント低下すれば、韓国のGDPも0.5%ポイント引き下げられるという相関関係だ。中国の減速が、韓国の減速をもたらす「双子関係」にある。
韓国はこれまで2回、通貨危機に直面した。ウォン相場の急落という「取り付け騒ぎ」に遭遇した。1997年と2008年である。『中央日報』(9月19日付)が、以下のように指摘した点は傾聴すべきである。
1997年のアジア通貨危機当時は、韓国を米国・日本・欧州・中国の経済が支えた。韓国メディアは、国民がこの経済危機を乗り切るべく、「金集め運動」を行ったという美談に仕立てている。韓国が2年ぶりに通貨危機から抜け出せた本当の原動力は、ウォン安で対米・対中・対欧州輸出が急増したことである。
2008年の金融危機当時も状況は同じであった。中国が、中央政府の4兆元(約60兆円)、地方政府まで合わせて計18兆元(約270兆円)を投入するという超大型の景気浮揚策で経済を持ちこたえた。韓国が、金融危機から早期に脱却できた理由だ。中国特需で金融危機を乗り越えることができたのである。
今回は、当時のように頼れる国がない。世界経済が減速しているためだ。