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韓国、世界経済同時減速で大ピンチ。中国に頼れず、日本へ急接近し融和策に必死=勝又壽良

世界経済は同時減速へ

中国は、米国と通商紛争の渦中にあり、李克強首相が「もう6%台の高速成長を持続するのは容易でない」と公式に認めたほどだ。

IMF(国際通貨基金)のチーフエコノミストのギータ・ゴピナート氏は16日、日本経済新聞の取材に対して、中国へ「2020年は6%割れ成長」を予告している。それどころか、「システミックリスク」(金融の連鎖倒産)すら、予測される事態に陥るリスクを抱えている。

中国経済は、「流動性のワナ」にはまっている。マネーサプライ(M2)の伸び率は、いくら金融緩和を行っても前年比8%台前半に止まっている。昨年の10~11%台の伸び率から見て鈍化しているのだ。これは、金融機関が信用創造に慎重になっている証拠である。貸し付けても確実に返済されない不確実な相手に、融資を絞るのが当然である。

前記のIMFチーフエコノミストのギータ・ゴピナート氏は、次のようにも指摘している。「貿易戦争の激化などで地政学リスクが高まり、金融面での収縮を引き起こせば、世界景気は2.5%へと近づくだろう」

IMFは2019年、世界の経済成長率を3.0%とみているが、金融面での収縮(システミックリスクの発生)という事態が起これば、成長率は下方修正されて2.5%を切り、景気後退へ突入すると見ている。

その懸念は、単なる喩え話でない。中国経済が行き詰まれば、現実に起こり得るところに不気味さがある。

その場合、大きな影響を受けるのが韓国経済である。

IMFが成長率を大幅下げ

IMFは、10月15日(現地時間)に発表した『世界経済見通し』で、今年の韓国の経済成長率を2.0%へと下方修正した。

4月の予測値(2.6%)より0.6%ポイントも引き下げたのだ。20年の経済成長率も2.2%にとどまるものと予想した。

ただ、この見通しは「公式見解」として、オブラートに包んでいる。先述のIMFチーフエコのミストによれば、世界経済全体が抱える縮小リスク、特に中国経済のリスクを勘案すると、楽観できないのだ。

IMFは、ほとんどの主要国の今年の成長率を下方修正した。中国は、4月時点の6.3%から10月時点で6.1%へと0.2%ポイント引き下げた。日本も1.0%から0.9%に下げている。ドイツ(0.8%→0.5%)、フランス(1.3%→1.2%)、インド(7.3%→6.1%)なども、成長の勢いが減速するものと予測する。

日本について、前記のIMFチーフエコノミストは、次のように指摘している。「日本は消費税増税の影響があるにもかかわらず、底堅い家計支出と公共支出によって19年は0.9%の成長を維持できそうだ。20年は潜在成長率並みの0.5%に下がるとみている。基本的な見通しとして、景気後退を予想していない」。日本の消費増税による景気リスクは軽微と見込んでいるのだ。財政支出による需要喚起策が、増税の落ち込みをカバーしており、「日本の財政スタンスは中立的といえる」と指摘している。

米国の今年の成長率は、2.3%から2.4%へ上方修正された。中国の下方修正と対照的である。米国製造業は、米中貿易戦争による影響を受けている。ただ、米国製造業はGDPの10%程度とウエイトが低く、旺盛な個人消費が経済を押し上げている。

米中貿易戦争で、米国が余裕を持って中国へ圧力をかけている背景が窺える。

Next: 日本を頼るしかない? 米中貿易戦争の影響を強く受けるのは韓国

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