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好景気を背景に荷動きが増加する物流業界…しかし、ドライバーの人手不足などが足枷に

体験の構築

用事が特定できたら、次になすべきことは、顧客がなし遂げようとしている進歩に伴う体験を構築することです。製品・サービスの購入時や使用時におけるすぐれた体験が、顧客がどの製品やサービスを選ぶかの基準になるからです。

業務用ユニフォームを通信販売で雇うとする顧客──意思決定者──にとって障害となり得るのは、注文した商品がすぐに手元に届かないこと。そうなれば、顧客は簡単に競合に流れてしまうでしょう。なぜなら、業務用ユニフォーム自体では差別化が難しいからです。また、使用者としての社員にとって障害となり得るのは、業務用ユニフォームについて知りたいと思っている情報──色やサイズなど──が手に入らないこと

同社は、顧客が午前中に専用サイトで注文すればその日のうちに商品を出荷できる体制を整えること、専用サイトは外注せず同社社員が作ってサイト上でユニフォームを着る人が知りたい情報──色やサイズなど──を発信することで、これらの障害を取り除いています。また、コールセンターでは、ユニフォームを知り尽くした社員が専門的な質問にも的確に対応することで、その場で注文につなげています。

いずれにしても、意思決定者は「注文した商品がすぐ手元に届く」、使用者である社員は「ユニフォームについて知りたい情報が簡単に入手できる」という、いずれもすぐれた体験ができるようになっています。

プロセスの統合

最後は、顧客がなし遂げようとしている進歩のまわりに社内プロセスを統合し、顧客に対して彼らが求める体験を提供します。そうすることにより、プロセスは摸倣が困難になり競争優位をもたらします。

社内プロセスの統合という意味で同社にとってカギとなっているのは、的確な顧客対応と在庫管理です。特に、納品のスピードについては競合他社の模倣が困難になっています。それを可能にしているのが、物流倉庫です。

先にみたように、業務用ユニフォームは、継続して顧客に購入してもらえるうえに流行に左右されることもありません。そのため、長年の経験で顧客からの注文数を正確に予測して適正な在庫量が算出できるため、欠品リスクや不良在庫化を回避できるというわけなのです。なお、同社は、メーカーから取り寄せた1万着以上の業務用ユニフォームを在庫として持っています。

今回の事例から引き出せる一般的な教訓…

●顧客が片づけようとしている用事を特定することは、次の新しい機会につながる。

業界サマリ:陸運・物流(ユニフォームネクスト)

□用事の特定:顧客は「一定の品質」「コスト削減」「短納期」「情報提供」といったことを重視している。

□体験の構築:顧客にとってすぐれた体験とは「注文した商品がすぐ手元に届く」「ユニフォームについて知りたい情報が簡単に入手できる」ということである。

□プロセスの統合:カギとなっているのは、顧客対応と在庫管理である。

Next: 物流倉庫で起きている問題点に焦点を当てると、見えてくることとは

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