政治が絡まなければ、日韓は普通の隣人でいられる
日本が、韓国の海外旅行の有力先になってきた背景を考えると、1つの結論が出てくるように思える。
それは、日本と韓国の関係が、1965年の国交回復以降のことでなく、1910年の日韓併合時代以来、110年にも及ぶ関係があることだ。この間の歴史が愛憎に満ちたものにしても、密接な交流があった事実を消せないだろう。
ソウルの郊外へ行けば、日本の街を歩いているような錯覚を覚える。そこは韓国であるが、風景は日本とそれほど変わるわけでもない。言葉が違うだけで、顔つきは日本人と違いがあるわけでない。この感覚は、韓国側から見ても同じで、差があるとは思えない。要するに、韓国の訪日旅行者も、きわめてリラックスして「隣町」の日本へ出かける雰囲気と思われる。
日韓の経済関係は、感情的な対立さえなければごく普通の「隣人」なのだ。
そこへ、政治的な思惑がからんで「謝罪しろ」「賠償しろ」という隣人らしからぬ問題が入り込んでくる。これが現状である。
文政権の反日が最大の元凶
もし、文在寅政権が生まれず、保守派政権が継続していたならば、ここまで日韓関係が紛糾することはなかった。問題が起これば、話し合いで解決できたはずだ。
文政権の場合は、「反日」によって保守派を排除する目的である。文政権と与党は、「20年間進歩派政権構想」を大真面目に推進してきたのである。
この超長期与党政権維持を前提に、これまで文在寅氏はあらゆる謀略を行って来た。その挙げ句が、GSOMIA破棄である。
文氏は、大統領就任2年半で反日懸案事項はすべて「完了」という思いであろう。それだけに、日韓関係が最悪の事態に落ち込んだのは当然なのだ。
文政権は、これまで110年間に及んだ日韓関係をズタズタにした。これは、韓国経済に大きな衝撃を与えている。航空会社の7〜9月期の赤字決算は、日韓関係を断ち切られた象徴に見える。
韓国政府は、大学生に日本企業への就職斡旋をわざわざ2ヶ月も遅らせる妨害をした。韓国大学生から不評を買ったが、11月中旬に開催されて、1,000名以上の大学生が詰めかけた。韓国の学生が、国内と同じ感覚で日本企業の就職試験を受ける気持ちは、遠い外国へ行くのでなく、「隣町の会社」という感覚であろう。
韓国の地方自治体では、日本企業へ就職する奨励金を30万円も出していた。「NO JAPAN」の反日不買騒ぎで、この就職奨励金は続いているか気掛かりである。