世界全体で「GDPマイナス成長」へ
欧州もドイツが大規模な経済対策を打ち出すことに期待はかかりますが、イタリア、スペインが厳しい封鎖のもとに、経済が事実上停止状態にあり、フランス、英国にも感染拡大の影響が広がっています。
人々が動けず、経済活動が再開できないと、経済政策でも「特効薬」はありません。欧州経済も今年は4%以上のマイナス成長に落ち込む可能性があります。
インドなど他のアジア諸国や、オセアニアでも影響が出ていて、経済が制約されるほか、主要先進国が大幅なマイナス成長となれば、輸出も投資も期待できません。
結局、世界の今年のGDPは、IMFやOECDが予想するような2%台の成長維持はとても困難となり、世界全体でも3%から4%のマイナス成長となる懸念が高まっています。
リーマン危機と異なるのは、経済活動を止めてしまう原因が、目に見えないウイルスという敵で、これ撃退するワクチンや抗ウイルス剤の開発に時間がかかりそうなことです。
特に、一部で指摘されるような、変異が進んでいると、薬での対応が追い付きません。
この感染拡大を止めないと、いくらお金をつぎ込んで景気対策をうっても、効果が出ず、財政金融政策手段が枯渇するだけとなります。
大型景気対策も効果は限定的
米国では2.2兆ドルの経済対策が、日本では56兆円規模の対策が、ドイツでも7,500億ユーロの経済対策が予定されています。いずれもGDPの10%以上の規模になります。
しかし、物を作るにも中国から部品が来ず、金をばらまいても店が閉まり、外出できなければ、景気は回復せず、不況下の物価高(スタグフレーション)をもたらすだけです。
今は医療体制の整備と、ヒト・モノ・カネを同時に動かす方策が求められています。
<初月無料購読ですぐ読める! 4月配信済みバックナンバー>
※2020年4月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
- 緊急経済対策は、危機版と平時版を分ける必要(4/1)
※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2020年3月30日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>
※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。
- コロナ大恐慌(3/30)
- 大失業、倒産への備えが急務(3/27)
- 新型コロナウイルスと世界大戦(3/25)
- 市場が無視する大盤振る舞い政策(3/23)
- 金融政策行き詰まりの危険な帰結(3/18)
- 金融政策行き詰まりの危険な帰結(3/16)
- 政府の面子優先で景気後退確定的(3/13)
- 市場に手足を縛られたFRB(3/11)
- コロナの影響、カギを握る米国が動き始めた(3/9)
- トランプ再選の真の敵はコロナウイルスか(3/6)
- 2月以降の指標パニックに備える(3/4)
- 判断を誤った新型コロナウイルス対策(3/2)
- 世界貿易は異例の2年連続マイナス懸念(2/28)
- 政府対応の失敗で「安全通貨」の地位を失った円(2/26)
- 信用を失った政府の「月例経済報告」(2/21)
- 上昇続く金価格が示唆する世界の不安(2/19)
- IMFに指導を受けた日銀(2/17)
- 中国のGDP1ポイント下落のインパクト(2/14)
- 習近平主席の危険な賭け(2/12)
- 政府の「働き方改革」に落とし穴(2/10)
- コロナウイルスは時限爆弾(2/7)
- 鵜呑みにできない政府統計(2/5)
- FRBにレポオペ解除不能危機(2/3)
『マンさんの経済あらかると』(2020年3月30日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
マンさんの経済あらかると
[月額880円(税込) 毎週月・水・金曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。