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トランプが中国に覇権を譲る日〜WHO脱退、香港国家安全法対抗措置で袋小路へ=江守哲

「香港国家安全法」を急ぐ中国政府

中国全国人民代表大会(全人代)は28日、「香港国家安全法」の制定方針を圧倒的賛成多数で採択した。香港国家安全法は、香港での分離や政権転覆、テロリズム、外国からの介入を阻止することを目的とする。全人代常務委員会による法案策定を賛成2,878、反対1、棄権6で採択した。

香港国家安全法の詳細は数週間内に策定され、9月までに成立する見通し。李克強首相は、国家安全法は香港の長期的安定と繁栄に資するとした。

香港特別行政区政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、全人代での採択を歓迎する声明を発表、「国家安全法は、香港市民の権利や自由に影響を及ぼすことはない」とし、「法制定作業のできるだけ早い完了」に向け香港政府が中国政府に全面的に協力する方針を示した。

香港では、中国政府による香港統制が強まるとの懸念が高まり、抗議活動が実施されている。中国当局は、香港の自治が脅かされることは全くなく、香港国家安全法の対象は絞られていると説明するが、米欧などは懸念を表明している。

中国による国家安全法の香港への導入方針について、香港の旧宗主国である英国は、「一国二制度の原則の土台を壊すものだ」と重大な懸念を表明。中国企業の次世代通信規格「5G」網参入をめぐるあつれきや、新型コロナウイルス感染拡大に絡んだ中国への不信が高まる中、今回の中国の動きを受け、対中関係の見直し論に拍車が掛かるのは必至である。

英中関係も冷え込む

経済の結び付きを強める英中関係は数年前、「黄金時代」とされていた。しかし、英国では昨年から今年にかけ、5G網の整備に中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)の参入を認めるかが大きな議論になり、対中関係の変調が鮮明になっている。

英政府は今年1月に同社参入を認めたが、通信網の中核からは除外し、ファーウェイ締め出しを求めた米国に配慮した。しかし、米国を失望させた上、国内では中国不信を強める与党議員らからも「最悪の決断」などと批判が巻き起こった。

そこへ新型コロナの世界的流行が発生。英国でも中国の初動のまずさが大流行につながったとの疑念がくすぶっている。ラーブ外相は4月中旬、感染拡大の原因について国際的な徹底調査を求めた上で、コロナ危機収束後の対中関係について「以前と同じに戻ることができないのは間違いない」と発言している。

一方、中国の李克強首相は28日、全人代の閉幕にあたって会見し、「中国と米国は互いの核心的利益を尊重し、相違に対処すべきだ」とした。李首相は「両国は互いを尊重し、平等を基に関係を築き、互いの核心的利益と主要な懸念を尊重し、協力を受け入れるべきだと私は信じている」としている。

Next: トランプ大統領は5月28日、SNS企業などを保護する法律を撤廃するか効力を――

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