fbpx

トランプが中国に覇権を譲る日〜WHO脱退、香港国家安全法対抗措置で袋小路へ=江守哲

SNSにも難癖

トランプ大統領は5月28日、SNS企業などを保護する法律を撤廃するか効力を弱める法律を導入すると表明し、大統領令に署名した。

ツイッター社は29日、ミネソタ州の黒人男性が警察官に押さえつけられた後に死亡した問題への抗議に関するトランプ大統領の投稿に「暴力の賛美についてのルールに違反する」との警告を表示した。トランプ大統領は同社の別の警告表示に反発し、SNS運営側の投稿への介入を阻止するための大統領令に署名している。

トランプ大統領は、一部が暴徒化して、非常事態宣言が出された同州の抗議に関して「これらの悪党は死亡した黒人男性のジョージ・フロイドの名誉を傷つけている。ワルツ州知事とさっき話をして軍は最後まで一緒にいると伝えた。どんな困難でも私たちはコントロールするが、略奪が始まれば、射撃が始まる」などと投稿した。

ツイッター社はこの投稿の上に、暴力を引き起こす可能性があるとして禁止されている「暴力の賛美」の警告を表示し、「公共性があると判断した」と引き続き閲覧できるようにした。トランプ大統領は警告を受け、「ツイッターは中国や急進左派民主党から出されたうそと宣伝については何もしていない。彼らの免責特権は剥奪されるべきだ」と投稿し、同社の対応を改めて非難した。

SNSにも難癖をつけるトランプ政権だが、ますます袋小路に入っていくだけであろう。まさに政権の負のスパイラルへの突入である。

これから起きる歴史的大転換

全人代で賛成多数で採択された「香港国家安全法」に対する米国の対応だが、トランプ大統領も手札がなくなってきたようである。WHOの脱退も宣言した。ますます袋小路である。

米国の内向き志向は、米国の衰退をさらに加速させている。トランプ大統領の表情をみると、すっかり元気がなくなっているようにみえる。大統領選を前にすでに戦意喪失、このまま引退したいと考えているかのような精気のなさである。

米国から見れば、中国の独断は許せないだろうが、すでに中国は米国を超える力を備え始めている。米国はそれに気づいている。しかし、放置もできない。そこで、仕方なく圧力をかけているというのが現状である。過去の歴史は最終的には戦争で決着をつけるのだが、それも費用が掛かりすぎて現実的ではない。

しかし、2020年は歴史の転換点である。50年の景気サイクルであるコンドラチェフサイクルを当てはめると、今年がほぼピークに相当する。その前はハイテクバブルである。50年サイクルの4サイクル前の200年前は英国の産業革命である。この数年間で米国主導の資本主義経済の形は変わっていくだろう。

その結果、中国主導の社会資本主義が中心的な考え方になっていくだろう。それを採用し始めているのは、ほかでもない米国であろう。

新型コロナウイルスの感染拡大で経済が落ち込むことを避けるため、政府は国民に配給制とも言える資金供給を行った。これにより、個人所得が急激に上がっている。失業していても、たっぷりとお金が手元に入ってくる。仕事をする必要がないのである。そのお金で株式を買っている若者も少なくないようである。だからこそ、株価が上がっているのだろう。しかし、経済が止まり、企業業績が悪化する中、株価だけが上昇する。

まさに、ルービニ教授が指摘するように、経済実態と株価の乖離が拡大するだけである。それを示しているのが、バフェット指数である。

Next: このように考えると、いずれ今の米国株は壊れるだろう。壊れなければ――

1 2 3 4 5
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー