北海道内にある「業務スーパー」の一部店舗が、18日からストライキに直入する事態となっているようだ。
穏やかじゃないな… pic.twitter.com/pecuhya3O5
— キングコング札幌店(レコード買取と販売) (@kingkongsapporo) July 18, 2024
報道によるとストを起こしているのは、道内で「業務スーパー」7店を運営するフランチャイズの「ケヒコ」従業員が加入する「全国一般東京東部労働組合エス・インターナショナル支部」。ケヒコ親会社の「エス・インターナショナル」との労働争議に入ったため、18日から無期限のストに突入したとのこと。
労組側は、ケヒコとエス・インターナショナルの代表取締役によるパワーハラスメントや不当労働行為に抗議していると報じられている。
娘の学校送迎のタクシー代を会社の経費で捻出
2000年3月の1号店オープンから22年で1000店舗出店に到達した業務スーパーだが、その事業展開の方法はいわゆるフランチャイズチェーン制(FC制)で、全国でみられる業スーの店舗はそのほとんどがFC店。ちなみに直近の24年5月時点では、総店舗数1066店に対して、直営店はわずか4店に留まる。
今回ストに突入している北海道の7店舗に関しても、先述のケヒコが運営しているFC店なのだが、その労組側が問題視しているのが、ケヒコならびにエス・インターナショナルの経営者である菅井麻貴社長による、会社資産の私的流用など放漫経営。
労組側の情報発信によれば、なんでもこの社長は自社が経営難にも関わらず、会社の経費でポルシェを買ったり、娘の学校送迎のタクシー代を支払ったり、自宅の家事代行サービス費用を支出したりと、まさに贅沢三昧の極みだったということ。その反面で、このような放漫経営のため、労働者に支払われる一時金(賞与)には金がまったく回らず、一部には一時金がたったの“800円”だったという者もいたようだ。
さらに菅井社長は、労組が実施した組合結成申し入れ行動に対しても「アポがないから話はしない」の一点張りで、警察に通報するなどの行動をとったうえに、最終的にはタクシーに乗り込んで逃亡したというのだ。
こうした菅井社長の不誠実極まりない対応もあり、労組側はまず6月29日に全7店舗中の6店舗において、約3時間ほどの時限ストライキを決行。さらにそれに続く形で、今回の全7店舗による無期限ストライキに突入したとのこと。
そんななかで労組側は、ケヒコならびにエス・インターナショナルに対し、すべての労働者の雇用継続を前提とする「自主再建」、さらに経営陣の退陣も求めているというのだが、社長はこれを全面拒否。それどころか会社弁護士と結託して、会社の破産と労働者の解雇を策動していたということで、労使間の主張は全くもって隔絶しており、また感情的な面でも相当な溝が生じているのは間違いなさそうなのだ。
長期戦が必至のなか神戸物産の動きは?
このように経営者側の見るからに悪徳社長といったふるまいぶりもさることながら、それ以前に「あの業スーでストライキ?」ということでも、単純に耳目を集める展開となっている今回の件なのだが、いっぽうで危惧されるのが、業務スーパーを運営する神戸物産への謂れなき風評被害。
先述したように業務スーパーが、神戸物産とFC契約を結んだ無数の企業による集合体であることが分かっていればいいのだが、そうでない向きからは“労組側が神戸物産に対してストを起こしている”といったような受け取りをしている反応もあるようなのだ。
さらに神戸物産としても、FC契約こそ結んではいるものの、他社における労使間トラブルには、口をはさみづらいといったこともあると思われるのだが、とはいえ仮にこのままストが長引いてしまえば、7店舗の売上ゼロが続くうえに、他社同様店舗への顧客離れも考えられるとあって、神戸物産としても時間が経つほど看過できない状況となっていくのは明白といったところだろう。
ちなみに19日20時時点で、ストライキが解除されたなどといった情報はなく、今だ続行中といった状況のよう。果たしてここまでこじれてしまった話を労使間がどのように折り合いをつけるのか、あるいは業を煮やした神戸物産の何らかの介入はあるのか、今後の展開が大いに気になるところである。
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