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【号外】ドル安・円高進行も市場の動揺は一時的と見る/為替介入について=馬渕治好

日本による為替介入の可能性は?

なお、焦点となっている日本による為替介入についてですが、介入があるのかないのか、あるとしていつどのような形で入るのかは、全く不透明です。ただ、2月のG20で、過度な通貨安政策を避ける、という旨が共同声明に盛り込まれたため、日本が介入できない、という説がささやかれています。しかし、G20で各国が想定していたのは、中国元の過度な切り下げをけん制することでした。

もちろん、米国の輸出製造業が相対的に不振であるため、米国が米ドル高を好ましく思っていないことは事実でしょう。米財務省の半期為替報告書でも、日欧の金融緩和(並びにそれによる間接的な通貨安政策)に対して不満が述べられています。ただし、同報告書で最初にそうした主張が表れたのは昨年4月であり、いまさら米国のそうしたスタンスを、足元の米ドル安・円高の急落の理由だとするのは、とってつけたように感じられます。

加えて、先進主要国の各国とも、通貨水準を自国通貨安に押し込んでいくような介入には反対です。しかし一般論として、どの国も、過度な為替相場の変動は好ましくない、という見解も共有しています。

現在のような、毎日1円以上も円高に向かい続けるような市況は、誰がどう考えても「過度な変動」です。くわえて4/7(木)の欧米株価の波乱は、こうした急速な為替市場の動きは、欧米諸国にとっても好ましくないことだ、との認識を広げる可能性があります。

とすれば、あくまでも過度の変動をけん制するため、との理由で、日本政府が何らかの形で為替市場に手を入れることは、各国から激しく攻撃されるようなものではないでしょう。

こうしたことから、今すぐでないとしても、米ドル円相場が早晩底入れ反転するものと予想しますが、それは日本株にとって安心材料となるでしょう。

外国人投資家が国内株を13週間ぶり買い越し

ここで日本株については、外国人が本格的に売っている、という説が横行しています。確かに短期筋は、今の相場の急変に乗じて、日本株を売っている向きも多いでしょうが、長期筋(年金等)は、短期波乱から日本株に対して様子見姿勢は強いものの、日本株が基調として下落を続けると考えているとか、本格的な売り姿勢に転じた、といったことはないと推察しています。

財務省統計では、3/27~4/2の週は、外国人投資家は国内株を13週間ぶりに金額でみて買い越した、と4/7(木)に発表されました。一方的に外国人が日本株を売りまくっている、といった主張は、実態と違うのではないかと考えています。

以上より、国内株式市況並びに米ドル円相場については、目先は心理的な動揺(内外の経済実態の急変などでは全くありません)により、まだ少しの間は価格水準の落ち着きどころが定まりにくいでしょうが、その後は中期的に(たとえば年央に向けて)株高・円安方向に進む、という見通しは、依然として変更することを全く考えていません。

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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2016年3月8日号外)より
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