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【週間展望】日本株は堅調維持、トランプ陽性・東証障害も内需改善が株価下支え=馬渕治好

過ぎし花~先週(9/28~10/2)の世界経済・市場を振り返って

<元々材料が多かったうえに、2つのサプライズがあったが、結局主要市場は持ち合いの様相>

(まとめ)
先週は、日米の経済統計など、元々材料が多かった週でした。それに東証のシステム障害と、トランプ大統領の新型コロナ検査陽性といった、2つのサプライズが加わりました。

ただ、経済指標は、世界的に景気回復基調が持続しているが、一時的な景気押し上げ要因の一巡もあって、弱いものも混じるまだら模様となっている、という大枠の景気展望に、沿った内容でした。またサプライズについても、きわめて大きく市場を揺るがすほどではなく、結局は日米等の株価は大きなボックス圏内で上下しているだけだ、と解釈しています。

(詳細)
先週は、日米の主要な経済指標など、元々材料が多かった週でした。ただ、一部で予想に反してさえなかったものもありましたが、総じては「景気回復基調が持続しているが、リベンジ消費や景気刺激策の一巡などで、回復の勢いが弱まったり反落するものが混じったりといった、まだら模様の様相も強い」といった、大枠の展望に沿った内容だったといえます。

これまでも、こうした「回復基調+まだら模様」の経済動向でしたし、今後もしばらくはそうした傾向が続くと見込まれるので、回復基調であることが主要国の株価を支えるものの、まだら模様なので株価が大きく上がることもない、といった、持ち合い相場を継続させることになるでしょう。

そこでまず、元々想定されていた先週の諸材料について先に解説すると、日本では9/30(水)に8月の鉱工業生産が発表されました。事前には前月比で1.5%増と、回復が持続するが穏やかな増加になる(7月の8.7%増から減速)と見込まれていました。実際には1.7%増と、ほぼ予想並みでした。

10/1(木)には9月調査の日銀短観が公表され、最も注目されている大企業の業況判断DIについては、製造業は前回のマイナス34からマイナス27に、非製造業は同じくマイナス17からマイナス12へと、穏やかな改善を示しました。

10/2(金)の雇用関連諸統計については、悪化が見込まれていると前号のメールマガジンで述べましたが、その通り、失業率は7月の2.9%から8月は3.0%に上昇し、有効求人倍率は同じく1.08倍から1.04倍に低下しました。

米国の経済指標で強かったものを挙げると、9/29(火)に発表された9月の消費者信頼感指数については、8月の84.8から9月は90.0に改善すると見込まれていたところ、実際には101.8と、大幅な上昇をとげました。また9/30(水)に公表された9月のADP雇用統計では、雇用者数が前月比で64.8万人増えると予想されていましたが、74.9万人増と強い内容でした。

一方で弱かったものとしては、10/1(木)のISM製造業指数は、8月の56.0から上昇するとの予想だったものの、55.4に小幅ながら反落しました。10/2(金)の9月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比で66.1万人増と、増加基調を維持しましたが、事前予想の85.0万人増を9万人程度下回りました。ただ、一方で8月分が、137.1万人増から148.9万人増に、12万人弱上方修正されましたので、それほど弱い内容ではなかったと言えます。

9/29(火)には、トランプ大統領とバイデン前副大統領の、討論会が行われました。トランプ大統領がバイデン氏の発言を遮ったりなど、プロレス並みの場外乱闘に持ち込んだ感が強く、討論会を視聴した人の多くが、討論になっていないお粗末なものだった、との感想を述べているようです。このため、落ち着いてかわしていたバイデン氏の支持率が討論会後には上昇した、との世論調査もあるようです。

ただ、別の世論調査では、討論会の前と後とで投票態度を変えない、という層も多いとされています。トランプ支持者には、大統領が失言しようと失態をみせようと、とにかく何が何でもトランプ氏に投票する、という「コアな」支持者が多いとも言われており、討論会が選挙情勢に大きく影響した、というわけでもないのでしょう。

<2つの大きなサプライズ>

こうした事前に想定されていた諸材料は、主要国の株価を大きくは動かさないものだった、と解釈できますが、先週は「2つの大きなサプライズ」がありました。ただ、主要国の株価や為替相場のトレンドを、根本的に変えてしまうようなものではなかったと考えます。

1つは、東証(および名証など、共通のシステムを使っている他の日本の証券市場)の取引が、システム障害で10/1(木)に終日停止されたことでした。この日は、大証での日経平均先物は取引されていた(もちろん、他国市場での先物も取引されていました)ため、現物が売買できない隙を狙って、先物に仕掛け的な買いや売りが入るのではないか、との懸念も聞かれましたが、実際には先物価格は余り動かずに穏やかな推移となりました。

もう1つは、日本時間で10/2(金)の午後に、トランプ大統領が新型コロナウイルス感染の検査で陽性だった、という報道があったことでした。不透明要因であるため、市場の初期反応は当然株安、円高(対ユーロなどで、米ドル安という様相は強くなかった)でしたが、たとえば米国株式市場では、同日一時434ドル安まで下落したニューヨークダウ工業株指数が、引けでは134ドル安まで下げ幅を縮めるなど、一時の心理的な動揺は一巡した感があります。

今後もトランプ氏の体調には注目が集まると見込まれますが、10/2(金)付の当メールマガジン号外で述べたように、どういう事態になっても、米国をはじめとする主要国の株価などが、大きく基調を変える、という展開は想定しづらいと考えています。

Next: 波乱で始まった10月相場も、結局はボックス圏内にとどまる

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