政策支援も先が見えない
GoToをきっかけに客足が戻ってきていますが、感染を克服して元に戻ったわけではありません。
現に感染者数はこのところ下げ止まり、高水準を続ける中で、キャンペーンが客を戻しています。それでも対象は感染予防対策をとっている企業となっています。
ディスタンスを取る分、客数は限られ、感染予防対策にコストがかかります。あくまでコロナとの共生が前提となっています。
問題は、この政府支援がいつまで支えてくれるのか、不透明なことです。
それだけ企業の判断は鈍ります。「トラベル」に続いて「イーツ」も加わり、飲食店も救済の対象となり、その利用者は増えています。しかし、政策設計が不十分なため、キャンペーンが不正の温床となるケースもみられ、キャンペーンを制限する動きも見られます。
欧米のようにまた感染が拡大したときに、規制がかからないか、不安要素も少なくありません。
実際、欧州では足元で1日の新規感染者数が15万人を超え、一部に経済活動を再び制限する動きが見られるようになりました。春の第1波のピークでも1日4万人程度だったので、これをはるかに上回る感染拡大で、各国とも対応を迫られています。
米国でも感染者数がまた7万人に迫り、10州で過去最多を更新しました。一部では劇場や学校の閉鎖期間が延長されるなど、制約が強まっています。
日本でも、足元で感染者数が下げ止まりから、また増加の気配を見せています。これからインフルエンザの感染期に入る中で、医療機関は危機感を強めています。
政府が経済支援を続けられるかどうか、予算の使いきりよりも、感染者数の増加で医療機関の体制が追い込まれたときに、支援策の再検討がなされる可能性があります。
企業にしてみれば、いつまでも政府支援を前提に営業を続けられるか不透明です。ウィズコロナと言っている間、政府が支援を続けてくれる保証もありません。これも事業継続の判断を揺るがせます。
WHOは「特効薬」の効果を否定
もう1つ判断を曇らせる要因になっているのが、特効薬のないことです。
インフルエンザのように、ワクチンや特効薬があれば、さほど恐れずに通常生活が営めるのですが、新型コロナについては、まだそのいずれもめどが立ちません。
先般はWHO(世界保健機関)が、米国のレムデシビルなど4つの薬について、死亡率を下げたり、退院を早めたりする効果は見られなかったとの治験結果を公表しました。トランプ大統領が投与され、日本でも承認された薬が、実は効果がないということになると、やはり高齢者を中心に不安が残ります。
ワクチンの開発も遅れが報告されています。抗体の有効期間が短く、2度目の感染例が各地で報じられると、ワクチンの効果にも不安が広がります。
それでも抗体があれば、それなりの効果はあるとの意見もありますが、その一方で副作用もあれば考え物です。
特効薬ができるまでは自分で感染防止に努めなればならず、感染しているかもしれない無症状の若い人から感染するリスクを考えると、高齢者や基礎疾患を持つ人の行動は制約されます。電車やスーパーなどでの「密」の場面が増え、マスクをしない人が増えれば、行動を制約される人も増えます。
その影響を受ける業界には負担となります。