ファイザーワクチン情報は「アフターコロナ時代」の象徴
そして、11月9日、日本人が眠っている間に、アメリカ時間のマーケットではさらなる「急激な喜ばしい変化」が巻き起きていました。米ファイザーが新型コロナワクチンの開発の第3相臨床試験データで、大きな前進があったと公表したことです。データの詳細はまだ明らかになっていないものの、ユーフォリアで浮かれトン吉になっている内外マーケットは、これに大きく反応しました。
欧米マーケットでは、人類が新型コロナとの戦いに勝利する「アフターコロナ時代」を早々と見越して、インフレ期待もアメリカの長期金利も急騰。この景気回復を見越す「良い意味での長期金利の急上昇」に伴って、再び株式市場では、「ハイテクなどのグロース株からローテックなどのバリュー株へのドラスティックな組み替え」が大規模に巻き起こりました。
11月9日の海外マーケットは、出遅れ気味だったバリュー株中心のヨーロッパ株式市場も爆上げ、アメリカ株式市場では、ダウも2万9,000ドル台を回復、3万ドルを視野に入れる勢いです。一晩明けた11月10日のアジアマーケットでも、出遅れ感の強かったバリュー株中心の日本株式市場やアジア株式市場はさらなる上昇を続けています。
マーケット期待が高すぎるファイザーのワクチン開発
しかしながら、注意は必要です。ファイザーは、正式には、11月第3週(11月23日?)に米国食品医薬品局(FDA)にデータを提出、FDAの許可を待ちます。
この時にファイザーがFDAに提出する「最終的なデータ」は、「あまりに高過ぎるマーケット期待」をいくばくか裏切る可能性があります。
あまりに内外の株式市場は急速に上昇し過ぎてしまいました。テクニカル的にも危険信号が出ています。そろそろ調整には気を付けましょう。
マーケットが大歓迎する「3つの強気材料」
今後、ロケット噴射のような株価の上昇が、近いうちに「テクニカル的な調整局面」を迎えるにしろ、個人投資家の皆様におかれましては、以下の3点だけは肝に銘じて、「強気継続」がよいと考えています。
1)マーケットには「身の置き所に困っている、溢れんばかりのウルトラ過剰流動性」が存在している
「3月のヘリマネ」だけで内外の株式市場は上昇トレンドを維持できるのに、この「超の付くウルトラ過剰流動性」は、ECBやBOEなどのヨーロッパ中銀によるバズーカ砲で、未だに増加していること。バイデン次期大統領と議会は、「2兆ドルを超えるような大型刺激策の発動」は無理でしょうが、「そこそこの大型の刺激策」や「そこそこの規模のインフラ投資」は実行できるでしょう。
またバイデン次期大統領は、トランプ現大統領と違って上院議員との対話が上手。そして、こちら「妥当な規模の刺激策やインフラ投資」のほうが、長い目で見たならば、株式ブームが息の長いものになり、長い目で見れば株価には有利。と考えます。上院では共和党が過半数を取得したので、2022年の増税はまずは不可能になったので、これも株価には有利です。
2)アメリカでは、季節的にも11月・12月・1月は株価が上昇しやすい時期
ヘッジファンドたちが最もがんばって働く季節です。また欧米で感染爆発している新型コロナウィルスは異変を繰り返して、この春先の従来型のものよりも弱毒化しているという情報もあります。
3)「悪い金利の上昇」「ドル国債の暴落」は、少なくとも向こう数年くらいは起きない
うまく行けば、2030年までは先進国では現在の株式ブームが続くかも知れません。先進国が「スタグフレーション(不況の中の物価高)」に陥るのは2030年以降でしょう。
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