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アベノミクスは死なず。日経平均は4~5月に底値をつけ上昇を開始する=伊藤智洋

上昇、下降、横ばいの値動きの違い~パワー・トレンド理論で探る今後の展開

私のパワー・トレンド理論の考え方を理解してもらうには、大勢の動きの考え方から順番に説明して、小さな値動きへと結びつけてゆく必要がある。

だが、それをまとめた本がわかりづらいとアマゾンの書評に書かれているので、ここでは、ポイントを絞って、今後の展開と合わせて紹介してゆこうと思う。

今回のポイントは、「上昇、下降、横ばいの値動きの違い」である。

株価は少し異なるが、一般的な価格は、激しい変動を好まない。それを扱う業者や消費者にとって、モノの値段がころころ変わってしまうと、将来推計をたてられなくなり、経済が回らなくなってしまう。

だからこそ、価格は、景気や物価の状況に合わせて少しずつ変化するだけで、月間や年間の平均値が大きく動くような展開にならない方がいい。価格は、横ばい(短期的なジグザグがあっても平均値に大きな変動がない)が好ましいのである。

価格は、何十年の動きをならしてしまえば、結果として緩やかにしか動いていない。それにもかかわらず、数年の期間で値幅の大きな動きになっているのは、無理やり作っているからである。

値幅が大きく、日柄の長い上昇、下降の動きは、値幅で利益を得る市場参加者が、いろいろとこじつけて無理やり作っているものである。長期の方向は、より行きやすい方へ作られる

上の表現は、極端だが、これから説明する上昇と下降の違いをわかってもらうために、わかりやすいのではないかという前提を加えたと考えておいて欲しい。

価格を作りやすいのは「上昇」

価格には、その国の状況によって、妥当な水準というものがある。上昇、下降が作られる動きだとするならば、どちらが作りやすいかと言えば、当然、上昇である。

そのとき、その状況で妥当な値段なら、そのものの価格は、そこから無理やり大きく下げようとしてもできない。市場で取引されているものは、十分な需要があるものであり、どんなに下げてもものの値段は、0円にはならない。不当に価格が下がるなら、その好機を業者が見逃すわけはない。

一方で、価格の上昇は、共通の認識、思い込みを作ってしまえば、いくらでも無限に拡大することができる。一定の流れができるときの敵は、個々の利益によって反対方向へ動く側である。

妥当な値段から動く場合、下降には限界があることを誰もが知っているので、下降へ向かう積極的な投資が現れにくいが、上昇は、市場参加者が(作られた幻想)共通の認識を持っている間、そこに限界はないのである。

だから、最初に仕掛けられる積極的な動きは、上昇から始まるのである。積極的な下降があらわれるのは、価格が十分な上昇を経過して、十分な下げ余地ができるときだけである。上昇は、規則正しい動きになりやすいが、下降が不規則になりやすい理由もそこにある。

年初から大きく価格が下げて、1年を通じて下げの流れを作っている、2年も3年も下げ続けている年があるではないかと思うかもしれない。だが、そのような動きをしている年の前を見て欲しい。必ず、数年かけて作られている大幅な上昇局面があるはずである。

Next: 過去15年のデータが示唆する、2016年の「下げ幅の限界」

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