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西友売却は喜べない。ウォルマートは危機的デフレ不況の日本を見限った=児島康孝

西友の苦戦は客から見ても明らか

ウォルマートの西友は、他店のチラシを持参する客には、それに合わせて最安値で販売するというキャッチフレーズで、毎日、低価格販売を強調しました。

しかし、西友では、コスト削減の人員削減が相次ぎ、売り場に活気がありません。当然、そのような雰囲気では、客も、楽しく買い物をする気分になりません。

また、低価格といっても、最近台頭している「業務スーパー」ほどは目玉商品がなく、またディスカウントショップやドラッグストアなどの低価格にはついていけません。

西友調布入間町店(調布市)は、世田谷区の成城エリアに隣接した立地ですが、2017年に八百幸(ヤオコー)成城店がディスカウントショップの跡地にできて(同じく調布市)、わずか数百メートルの道路並びとなりました。

西友は、外壁を白に一新して対抗しています。「24時間営業」というメリットはあるものの、売り場の華やかさや、商品の見た目の良さでは、八百幸(ヤオコー)に押されています。

八百幸の店舗では、買い物の楽しみがあり、つい余分に買ってしまう場合があるのです。価格は、西友がやや安い場合がありますが、明らかな違いまでは実感がありません。

周辺には「サミット」や「オーケー(スーパー)」もありますから、西友の独自性はほとんどありません。

もっとも西友も、最近は、マクドナルドやバーガーキングのようにアンケートを実施していて、その質問項目には「商品がおいしそうに見えるか」という項目などが入っており、問題点は把握しているようです。

しかし、価格では「業務スーパー」が安いですし、24時間営業では「セブンイレブン」「ローソン」「ファミリーマート」などのコンビニが揃っています。

このような状況で、西友は、中途半端な立ち位置で苦戦していました。

ウォルマート撤退は喜べない

ロイター通信の記事によりますと、ウォルマートは、西友に対して、2007年に発表したTOBで約1,000億円を投入。2002年から2007年までを合わせると、約2,470億円を西友に投じています(2007年時点のロイター)。

ウォルマートは、これだけの金額を投じて自信満々だったわけですが、ついに、アメリカの投資ファンドKKR(65%)と、楽天(20%)に株式を売却し、事実上、西友から撤退します。

ウォルマートが撤退すれば、日本勢のスーパーが勝ったように見えますが、これには、実は重大な意味があります。

つまり、日本のデフレ消費不況があまりにも激しく、今後も「消費は回復しない」とウォルマートは日本を見限ったわけです。

Next: ウォルマートは日本を見限った? デフレ不況で消費減退へ

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