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NSW Research Memo(5):サービスソリューションは不採算案件で大幅減益もセグメント別業績はおおむね想定内

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■NSW<9739>の業績動向

2. セグメント別概況
(1) エンタープライズソリューション
売上高は7,644百万円(前年同期比1.6%増)、営業利益は849百万円(同21.6%減)、営業利益率は11.1%(同3.3ポイント低下)であった。売上高については、小売業向け及び公共分野向けの業務が堅調に推移し、増収となった。営業利益については、競争力強化のための経費増により減益となったが、期初予想比ではほぼ計画どおりの進捗となった。また、受注高は7,723百万円(同2.5%減)、受注残高は6,663百万円(同2.0%減)と、前年同期の実績が高かった反動により小幅減少した。

売上高の内訳を見ると、ビジネスソリューションの売上高は3,161百万円(前年同期比5.6%増)であった。製造業向けはリニューアルした製品情報管理の自社パッケージ提供を軸に拡大し、小売業向けも主要顧客の拡大と新規顧客の取り込みにより増加した。また、金融・公共ソリューションの売上高は3,639百万円(同2.0%増)となった。金融・保険業向けは決済系が苦戦したが、官公庁・団体向けはデジタルガバメント関連のシステム開発・保守案件が好調に推移した。システム機器販売の売上高は既存顧客のIT投資抑制も影響し、844百万円(同12.0%減)の大幅減収であった。なお、システム機器販売の売上高は下期に片寄る傾向があり、通期決算への影響は限定的である。

(2) サービスソリューション
売上高は7,177百万円(前年同期比5.4%増)、営業利益は137百万円(同42.7%減)、営業利益率は1.9%(同1.6ポイント低下)となった。売上高については、IoTシステム構築関連やデータマネジメントサービスが好調で増収となった。営業利益については、経費増に加え、当期発生した不採算案件の影響により大幅減益となった。同セグメントは2020年3月期より独立したセグメントであり、事業拡大に向けた体制強化、新サービス展開のための先行投資、不採算案件への対応などが影響し、その他の3セグメントと比較し営業利益率が低い。不採算案件を減らすためには、見積りの精度向上や品質管理の強化が必要であろう。事業が軌道に乗り同社全体の業績に貢献するには、もう少し時間がかかりそうだ。一方、受注高は7,386百万円(同7.4%増)と順調だ。

売上高の内訳を見ると、デジタルソリューションの売上高は2,152百万円(前年同期比12.5%増)となった。IoT・AIは、製造業向けIoTシステム開発が大幅に増加した。さらに、Web・ECは前期の不採算案件に続き、当期新たに発生した不採算案件により苦戦しており、収束に向けた対応により機会損失の発生と収益面へのマイナス影響があった。クラウド・インフラサービスの売上高は5,025百万円(同2.7%増)となった。クラウド・インフラは、インフラ構築案件減少の影響により減少した。また、データマネジメント・その他サービスは、データマネジメント分野が好調に推移するとともに、BPOサービスも堅調であった。

(3) エンベデッドソリューション
売上高は5,412百万円(前年同期比0.8%増)、営業利益は743百万円(同9.1%減)、営業利益率は13.7%(同1.5ポイント低下)と、高水準の利益率を維持した。売上高はネットワーク分野における案件谷間の影響があったものの、オートモーティブ分野とインダストリー分野が好調を維持した。営業利益については、賃上げによる経費増の影響で減益となったが、当期予想比では計画を上回る進捗となった。賃上げの負担を売価に反映するまでには、タイムラグがある。既存顧客の深耕により生産性が向上し、引き続き高い利益率を維持しているが、これは既述のとおり技術的な参入障壁が高く、独立系の同社規模で同事業を手掛ける企業が少ないためと考えられる。なお、受注高については5,557百万円(同2.4%増)と堅調である。

売上高の内訳を見ると、同社の得意分野であるオートモーティブは、既存顧客を中心にSDV※分野が引き続き好調を維持した。インダストリーは、エネルギー、モバイル、土木建設の分野が好調に推移した。通信では、既存顧客の案件谷間なども重なり、全体ボリュームが減少し、産業用ネットワークなどでリカバリを図った。

※ Software Defined Vehicleの略で、ソフトウェアを変更することで価値や機能を増やしたり、性能を高められる自動車のこと。

(4) デバイスソリューション
売上高は4,619百万円(前年同期比2.4%増)、営業利益は629百万円(同2.6%増)、営業利益率は13.6%(同変わらず)となった。売上高は、引き続き主要顧客ごとに好不調はあるものの、新規顧客開拓などが功を奏し増収となった。営業利益については、経費増の影響はあったものの、それ以上の利益改善を図り、4セグメント中で唯一増益となった。コスト増はあったが、新規開拓により前年同期並みの利益率を維持した。既存顧客の深耕により生産性が向上したほか、技術的な参入障壁が高く、独立系の同社規模で同事業を手掛ける企業が少ないこともあり、引き続き高い利益率を維持している。同社は汎用的な分野ではなく個別分野で強いが、取引先が固定化している分野であるため、主要顧客との関係を深掘りして業績を伸ばしている。受注高は4,879百万円(同6.1%増)と伸びたが、今後も半導体関連の動向を注視する方針だ。

売上高の内訳を見ると、前期より注力をしてきた新規開拓の活動成果が出てきたこともあり、業績面は改善している。受注状況も堅調で国内における対応領域の景況感は悪くはないが、慢性的なリソース不足は解消していない。海外市場はより前向きな状況であるため、海外展開の推進に注力していく。半導体分野は特に専門性が高く、業界全体の慢性的な人材不足もあり、同社ではベトナムをはじめ東南アジアを中心に海外活用やパートナー連携を本格化している。また、台湾でもアライアンスを組み、海外企業からの案件獲得も目指し、新規開拓を進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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