現在、大手行が保有する株式投信残高、約7.5兆円前後のうち半分強が「ベア型投信」であると思われます。この存在がリスクになる可能性について考えてみます。(『証券アナリスト武田甲州の株式講座プライム』)
※本記事は有料メルマガ『週刊 証券アナリスト武田甲州の株式講座プレミアム』2019年11月18日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
株高続けば、積み増した「ベア型投信」をどこかで解約する必要
足もとで増加した投信残高のかなりの部分を「ベア型」が占める
日銀の「金融システムリポート2019年10月号」に気になる一文が出ていました。一部抜粋ですが以下のような文章(原文)。
金融機関の投資信託等の残高は、引き続き増加傾向にある。業態別にみると、大手行では、引き続き株式投資信託に関して厚めの残高を維持しつつも、債券や政策保有株式(企業との取引関係を重視して保有する株式)等の評価損益を管理するための「ベア型」の投資信託を積み増す先がみられ、足もとの残高増加のかなりの部分を「ベア型」が占めているとみられる。
大手行の株式投信保有残高は7.5兆円前後。そのうち半分強の4兆円弱がいわゆる「ベア型投信」になっているのではと思われます。
わざわざリポートで日銀が指摘したのは、こんなに大量のベア型投信を持っていることが「リスク」になるのではないかということ。
企業業績には陰りが出ているものの、足元の株価は好調です。
米国株は過去最高値圏にあり、NYダウは史上初の2万8,000ドル台乗せ。日本株は日経平均が年初来高値圏にあり、昨年高値を更新していくことが期待されています。
市場では来年以降の企業業績回復期待が強まっており、株価は堅調。一方債券については債券バブル崩壊とまではいえませんが、金利低下の動きが止まって一部巻き戻しの動きが見られます。
今のような株高状態が続けば、大手行保有は積み増してきた「ベア型投信」をどこかで解約する必要が出てきます。
ベア型投信は株式先物を売っているわけですから、解約すれば先物が買われ株価は上昇します。
兆円単位の残高を一気に解消することは難しいと考えると、この話は日本株を下支えしつつ、一方では上昇圧力となりそうです。
なお外国人投資家は年初来3兆円を売り越していますが、直近6週間は連続買い越し。外国人投資家の姿勢はこれまでとは180度変化。
これからは外個人のほかにも、国内大手行のベア型投信4兆円の動向にも注意が向けられることになりそうです。
※有料メルマガ『週刊 証券アナリスト武田甲州の株式講座プレミアム』好評配信中!ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
image by : Jirsak / Shutterstock.com
『証券アナリスト武田甲州の株式講座プライム』(2019年11月18日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
週刊 証券アナリスト武田甲州の株式講座プレミアム
[月額550円(税込) 毎週月曜日]
証券アナリスト武田甲州が、経済やマーケットの先読み・裏読み情報を毎週月曜日に発行。2008年3月のセミナーでは米国で最大300兆円の公的資金投入を予想。2008年9月末時点で米国のゼロ金利、量的緩和政策実施を予測するなど大胆な未来予測情報もあります。