Yahoo!(Zホールディングス)とLINEと経営統合の協議など、赤字決算にもめげずソフトバンクグループが活発な動きを見せています。その思惑などを解説します。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
Yahoo!とLINEの統合でキャッシュレスやショッピング事業を強化
かつてのソフトバンクは「インターネット革命」に邁進
ソフトバンクグループが活発な動きを見せています。先週に赤字決算を発表したことにもめげず、今週は傘下のYahoo!(Zホールディングス<4689>)がLINE<3938>と経営統合を目指して協議していることが発覚しました。
この経営統合には違和感がなく、動画にある通りキャッシュレス決済やショッピング事業での競争で優位に立とうとする思惑が見えます。将来的には中国のアリババ、テンセントを目指しているのでしょう。
しかし、最近のソフトバンクグループ孫正義会長が一体どこへ向かっているのか、私にはよくわからなくなっています。
かつて「インターネット革命」を掲げてPCソフト雑誌「ソフトバンク」を立ち上げ、米ヤフーと組み黎明期にあった日本のインターネットを育て上げ、ボーダフォンを買収して携帯電話事業に風穴を空けてきました。
その過程で、インターネット回線がなかなかつながらないとなれば、総務省に飛び込んで「ここで灯油をかぶる」と脅迫まがいのことをしたり、ボーダフォンの買収では2兆円にものぼる有利子負債を抱えたりするなど、無茶なこともしてきました。
しかし、これらはあくまで「インターネット革命」を前進させるためのものでした。その先には必ず顧客がいて、彼らにより良いもの、便利なもの、安いものを届けることを最大の目的としてやってきたからこそ苦難を乗り越えられたのだと思います。
実際に、孫氏なくして現在の日本における快適なインターネット環境はなかったでしょう。iPhoneを最初に日本に持ち込んだのも彼の功績で、私もこの時に携帯回線をauからソフトバンクに乗り換えました。
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