何か変だぞ? いま話題の「配当貴族インデックス投資」に潜む罠=東条雅彦

米国高配当株式ETFはバークシャーにボロ負けしている

本メルマガでは度々、「S&P500に投資するぐらいだったら、バークシャーに投資する方が圧倒的に有利だ」と主張してきました。そのことはバークシャーの対戦相手がS&P500から米国高配当株式ETF(VYM)に変わっても結論は同じです。

VYMとバークシャー・ハサウェイ(BRK)の成績を比べたのが次のチャートです。同じくYahoo!Financeで調べました。

<VYM VS S&P500 VS BRK 2006年11月~2017年5月>

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(説明)
水色=VYM(バンガード・米国高配当株式ETF)
緑色=SPY(S&P500)
ピンク色=BRK-A(バークシャー・ハサウェイ)

バークシャー・ハサウェイは、約10年6ヵ月で+127.29%のリターンを叩き出しています。S&P500よりも米国高配当株式ETFよりも、遥かに高いリターンを示しています。

リーマンショックでもバークシャーの方が高配当戦略よりも少ないダメージでやり過ごしており、ディフェンス力も十分に兼ね備えています。

高配当戦略は「絵に描いた餅」か?

S&P500配当貴族指数は、S&P500構成銘柄のうち、過去25年間連続して毎年増配している優良大型株のパフォーマンスを測定します。多くのETFはこの指数に追従するように投資商品を設計しています。

S&P Dow Jones Indicesの公式サイトには、S&P500配当貴族指数について下記のように説明されています。

<S&P500配当貴族指数の説明書き>

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赤線で引いた箇所に「実際のリターンはバックテストされたリターンとは異なり、これよりも少ないものとなる場合があります」と書かれています。

高配当戦略型のほぼ全てのETFがバークシャーに負けています。さらに多くの高配当戦略型ETFは、S&P500にすら負けている状況です。

「これよりも少ないものとなる場合があります」どころの騒ぎではありません。現状では「ほとんどの場合、この指数よりも少ないものとなります」と言い切った方がより的確な表現だと思います。

高配当戦略を実際に採用した場合、運用コストと銘柄入れ替えのコストがかかるため、指数と同じパフォーマンスは望めません。現実の世界でしっかりとした成果が得られないのなら、「絵に描いた餅」だと言えるでしょう。

高配当戦略とS&P500の違い

S&P500には、Alphabet(Google)やAmazonなどの配当金を出さない超・成長銘柄も含まれます。超・成長企業は配当金を出さずに、資金の大半を自社ビジネスへの投資に充てます。そのため、売上高と利益が右肩上がりに増えていき、株価も将来の成長を見込んで、大幅に上昇していく傾向があります。

インカムゲインは少ないかもしれませんが、キャピタルゲインが多くあるのです。

一方、高配当銘柄は歴史があって大型の企業が中心になります。そのような企業は配当金を安定的に株主に還元する一方で、成長力では新興企業が中心の超・成長銘柄には勝てません。

ものすごくざっくりとした言い方をすると、高配当戦略はキャピタルゲインを犠牲にしてインカムゲインを重視する戦略です。

投資家にとっては、キャピタルゲインもインカムゲインも同じ利益となります。

バフェットの好む消費者独占型企業はキャピタルゲインとインカムゲインの両方が充実していることが多く、過去50年間の統計ではうまく機能しています。

キャピタルゲインとインカムゲインの観点からこの3者をまとめると、次のようなイメージになります。

通常のS&P500:インカムゲインよりもキャピタルゲインを重視する
高配当戦略:キャピタルゲインよりもインカムゲインを重視する
バフェット流投資戦略:キャピタルゲインとインカムゲインの両方を重視する

Next: 高配当戦略は自分ではなく「政府」が儲かる投資戦略だった

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