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何か変だぞ? いま話題の「配当貴族インデックス投資」に潜む罠=東条雅彦

バークシャーが有利なもう1つの利点

S&P500に投資する標準的なインデックス投資であっても、高配当銘柄に投資する改良型インデックス投資であっても、投資家が受け取る配当金には税金がかかります個人で株式を保有していて、他に引き当てる損金がない場合、配当金には20%の税金がかかります。

バークシャー・ハサウェイは今のところ、配当金を出していません。そのため、政府からの20%源泉徴収を免れています

<補足事項>
先日のバークシャーの株主総会では今後、配当を出す可能性を示唆しているので、近い将来、方針が変わる可能性は大いにあります。

2006年から2016年までの過去10年間において、SPY、VYM、BRK-Aのキャピタルゲインとインカムゲインは次のように推移しています。

株価はいずれもその年の12月末時点の値となります。

<SPY、VYM、BRK-Aのキャピタルゲインとインカムゲイン>

170523tojo_6

(補足説明)
・SPY=S&P500(配当込み)に連動するように設計されたETF
・VYM=バンガード・米国高配当株式ETF
・BRK-A=バークシャー・ハサウェイ(A株)
・合計リターンはキャピタルゲインとインカムゲインの合計値である。
・インカムゲインは全額を再投資する前提で計算している。

投資のリターンはキャピタルゲインとインカムゲインに分解できます。キャピタルゲインだけに着目すると、次のような成績になっています。

<キャピタルゲインの成績比較(10年で資産が何倍に増えたか?)>

・SPY=1.58倍
・VYM=1.47倍
・BRK-A=2.22倍

S&P500に連動するSPYの方が、VYMよりもキャピタルゲインが多くなっています。

一方、インカムゲインに着目すると、VYMの方がSPYよりも受け取れる配当金が多くなっています。

個人保有で損金を作れない場合、配当金には政府によって20%の課税が課せられます。その課税の影響を受けて、SPYの実質的な配当利回りは2.1%から1.6%に下がり、VYMは3.1%から2.5%に下がります。それぞれ押し下げられた0.6%は、政府の取り分です。

<平均配当金利回りの比較(2007年~2016年の単純平均値)>

170523tojo_table_1

キャピタルゲインとインカムゲインを合計した過去10年間の累積リターンは、次のようになっています。

<2006年から2016年までの10年で資産が何倍に増えたのか?>

170523tojo_table_2

注目すべきは、VYMの直近10年間で増えた資産が税引前で1.99倍、税引き後で1.87倍になっており、その差が-11.6%と大きく広がっている点です。SPYは税引前と税引き後で-4.7%しかマイナスになっていないのに、VYMは-11.6%もリターンが下がってしまうのです。

これは当然のことで、高配当戦略を採用するVYMはキャピタルゲインよりもインカムゲインを重視しているので、その分、政府から多く課税されてしまい、リターンが大きく押し下げられるのです。

証券会社から出されている目論見書もシーゲル博士の著書で書かれている研究結果も、全て配当金にかかる課税を無視して計算しています。

確かに税金を考慮しなければ、高配当戦略は優位に立つかもしれません。しかし、私たちの多くは個人口座で、インカムゲインに対する課税をスキップする術を持っていません

高配当戦略は下手をすると、自分が儲かるのではなく、いつの間にか政府が儲かる戦略にすり替わってしまう危険が高いのです。

Next: バフェットもあえてS&P500にハンデを与えた上で競争している/まとめ

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