みなさんは「遺言書」を作成するメリットというとどのようなことが思い浮かぶでしょうか。最近は、新設されるかも知れない「遺言控除」についても大きな注目を集めていますが、まず考えられることに、遺言書があることにより「相続人の間での不要な争いが避けられる」という点があるのではないでしょうか。しかし、無料メルマガ「こころをつなぐ、相続のハナシ」を配信する行政書士の山田和美さんは遺言書に期待できる効果はそれだけではないと語ります。
争族予防以外の遺言書のつかいかた
「遺言控除」が話題になっています。
前号の繰り返しになりますが、これは「ちゃんと遺言書を書いた場合に、相続税を安くしてあげましょう」という制度。
制度自体には疑問の残る部分もありますが、それでも国をあげて遺言書を推奨していこうという流れは、喜ばしい限りです。
さて、遺言書というと、どんな時に書くものとイメージされるでしょうか。相続人同士の仲が悪いとき?骨肉の争いを防ぐため?もちろんそれも、遺言書の大きな効果の一つです。実際に遺言書を書く方の理由の半数以上を占めているかと思います。
しかし、実は遺言書に期待できる効果はそれだけではありません。
例えば相続人の中に認知症の方がいる場合や、実際に相続がおきたときに認知症になっている可能性がある場合、手続きをスムーズにするためにも、遺言書はつかえるのです。
仮に遺言書がない状態で相続が起きてしまうと、土地や建物、銀行預金など亡くなっていた方の財産を動かすためには、「遺産分割協議書」という書類が必要です。
この書類には実印が必要なのですが、認知症の方はこのような大事な書類に、有効に実印が押せません。
するとどうなるかと言うと、家庭裁判所という裁判所で、代わりに交渉に入ってくれる「後見人」をつける必要があります。
なお、後見人は相続のためだけにつけるものではなく、相続手続が終わったからと言って、簡単に辞められるものではありません。
そのためどなたが後見人になるか、というのも、しっかり考える必要があります。
また、もちろん家庭裁判所にいきなり行ってその場で手続きが終わるわけではありません。
その間、銀行預金の解約など、相続手続きを進めることができない、ということなのです。
相続が起きたあとは何かとお金が必要な事もあります。そんなときに、預金の解約に時間がかかるのでは、困ってしまいますよね。
そんなとき、解決方法の1つに遺言書があります。遺言書があれば遺産分割協議書が不要なので、このような手続きは必要ありません。
後見人をたてたりすることなく、スムーズな手続きが可能です。
ただし、2点ほど注意点があります。
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