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経営危機に揺れる「ドイツ銀行」の考察~一番手は、つぶれにくい=児島康孝

経営危機が懸念されている「ドイツ銀行」ってどんな金融機関?実際のところ破綻する可能性はどれくらい?ヤメ経済記者が総力を挙げて送るメルマガ『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』が分かりやすく解説します。

市場は疑心暗鬼も、そう簡単には破綻しない名門・ドイツ銀行

そもそもドイツ銀行とは?

ドイツ銀行は、ドイツの民間銀行トップです。ドイツ連銀である中央銀行、通称「ブンデスバンク」とは別で、民間の銀行です。日本でいえば、三菱東京UFJ銀行と野村證券をかけあわせたような感じです。

一時13ユーロ台まで株価急落、CDSが市場の危機感示す

ドイツ銀行の株価は、おおむね50~80ユーロ前後だったものが、リーマンショック前(2007年5月)には、117ユーロに上昇。

リーマンショック後(2009年1月)に16ユーロをつけたあとは、50~30ユーロぐらいに戻していました。

しかし、投資銀行としての側面が強いことから、損失を抱えているのではないかと懸念され、今月9日と13日(2016年2月)には、13ユーロ台をつけ、現在も15ユーロ前後です。

一方、ドイツ銀行側は、2015年の通年で68億ユーロの損失計上を正式発表。ドイツ銀行共同CEOのジョン・クライアン氏は、
「当行は2016年においても、総力をあげて当行が抱える過去の問題点の解決に向け引き続き邁進する所存であり、事業再編への取組みおよび事業基盤への投資は、2016年も継続していきます」
などコメント。問題のある融資や、投資のポジションを解消している最中ということでしょうね。ギリシャなのか、中国向けなのか、何か、あるんですね。

株価やCDS市場は、かなり危機モードです。CDS=クレジット・デフォルト・スワップ市場でのドイツ銀行の債務保証コストの急上昇は、ロイター通信やニューズウィークも報じています。

マークイットによると、CDS市場が織り込むドイツ銀行の劣後債のデフォルト(債務不履行)確率は24.5%、シニア債のデフォルト確率は17%に上昇したとロイターが伝えています。

ただしドイツ銀行は、1兆円ぐらいの損失が何回かあっても、そう簡単につぶれるような感じはないです。市場は、損失を計上した以外にも、何か、もっと問題を抱えているのでは?と疑心暗鬼になっているのです。

ヘッジファンドや海外投機筋が攻撃か

今回、日経平均やドル円が暴落したのは、ヘッジファンドや海外投機筋のアタックですが、同時に欧州でのリスクムードを高めるために、ドイツ銀行株の売りや、CDSも狙われた可能性が高いですね。

ドイツ銀行が株価急落すると、市場の危機ムードが高まりますからね。ドル円が110円98銭(レートにより99銭)をつけたのは、欧州時間でした。

逆に、ドイツ銀行のグループも「売り」に強い投資銀行ですから、今回の日経平均やドル円の暴落で、危機脱出の利益を上げたかもしれません。

リーマンショックのときも、ゴールドマン・サックスが、逆に「売り」で巨額の利益をあげて会社を防衛しました。ドイツ銀行はどうだったでしょうか。

Next: 業界一番手はつぶれにくい。トップ人材が集まるドイツ銀行の底力とは

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