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中国テック企業の2021年最新事情。系列化が進む主要10社を正しく理解する=牧野武文

大半のサービスが「BAT」の系列企業

中国の主要テック企業は覚えるのは簡単です。なぜなら、米国よりもテック企業の系列化が進んでいて、主要テック企業といったら10社程度、多くても20社程度だからです。

まず、調査会社Trustdataによる最新版(2020年10月)のMAUアプリランキングを見てください。MAUというのはMonthly Active Users(月間アクティブユーザー数)です。1ヶ月の間、1人の人が10回使っても1人とカウントし、1ヶ月の間に何人が利用したかをカウントしたものです。MAUが大きいほどよく使われるアプリということになります。

ご存知ないアプリもあれば、ご存知のアプリもあるかと思いますが、注目していただきたいのはいちばん右端の列です。これはどこの系列かを示しています。例えば、「テンセント」と書いてあるアプリは、テンセントが開発し、運営したもの。それから、テンセントが出資をしているテック企業が開発、運営をしているものを表しています。

すると、3つを除いて、すべて大手テック企業の系列に入ってしまうのです。

2020年10月時点でのアプリMAUランキング(Trustdataの統計より作成)

2020年10月時点でのアプリMAUランキング(Trustdataの統計より作成)

このような系列化を進めているテック企業がBAT(バット)です。BATとはB=百度(バイドゥ、Baidu)、阿里巴巴(アリババ、Alibaba)、騰訊(タンシュン、tengxun、英語名:テンセント、tencent)です。

日本のメディアでは、中国の巨大テック企業を表す文脈でBATをよく使いますが、中国メディアでは、BAT各社の巨大ぶりよりも、積極的にテック企業に投資を行い、系列化を進めているという文脈でBATという言葉を使います。例えば、「今後のBATの布陣はどうなるか?」などの記事では、BAT各社がどのテック企業の買収に動いているかということが論じられます。

このようなテックジャイアントは、新しいビジネスを始めるときに、自社で何から何までやるのではなく、系列企業を組み合わせてビジネスを構築するのが普通のことになっています。足りないパーツがあれば、買収に動きます。

例えばアリババが運営をしている新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)では、百貨店、スーパー運営の「新華都」、食品物流の「三江購物」、即時配送の「ウーラマ」を組み合わせて構築をしています。アリババはこの3社に対して出資を行い、ウーラマの場合は完全子会社化をしています。さらに、ここにアリババのリソースである業務管理システム、クラウド、スマホ決済などを組み合わせて構築をしています。

アリババとテンセントは、どのようなサービスを展開するかの戦略を立て、それに必要なパーツを集めるかのように買収を行い、系列化をしていきます。その結果が、最初にお見せしたアプリランキングになります。

Next: BAT+新興3社で中国ビジネスを理解する

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