コロナ長期化で接触型サービスが甚大な影響を受ける一方、モノづくりが復活しています。消費行動でも体験型消費の潮流がまたモノ消費に戻りつつあります。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)
※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2021年1月29日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。
コロナ以前には戻れない
コロナの最初の感染者が見つかってから約1年が経ちましたが、感染の収束めどはいまだに立ちません。パンデミックの長期化が、人々の行動様式、経済活動に大きな変革を及ぼしています。
接触型サービスが甚大な影響を受ける一方で、モノづくりが復活しています。消費行動でも体験型消費の潮流がまたモノ消費に戻りつつあります。
個人向けサービス業などでは、春の第1波、緊急事態宣言を何とか乗り切った業者も、夏の第2波、12月からの第3波にはついに耐えられずに経営破綻せざるを得なくなった企業が増えています。
帝国データバンクによると、今年1月25日までの「コロナ倒産」は全国で929件に上りました。特に昨年12月だけで123件に上ります。嵐が去るまで何とか息を凝らして耐えていても、次から次へと嵐が襲いかかることがわかり、息を止めて待っていることができないことがわかりました。
欧米でようやくワクチンの接種が始まりましたが、コロナから解放されて、元の世界に戻ることはほぼ期待できないこともわかってきました。
従って、企業も政府も、我慢して耐えて、嵐が過ぎ去るまで時間稼ぎする対処法では乗り切れないことがわかってきました。残念ながら、政府のコロナ対策は、昨年の1回限りの10万円給付のほか、雇用調整助成金、持続化給付金など、依然として一時しのぎ的な策が中心になっています。
しかも昨年末まで「Go To」キャンペーンで人を動かす施策をとり、一部から感染拡大の要因と指摘されています。
接触が最大のリスク
この1年で分かったことは、インフルエンザのような空気感染ではなく、飛沫感染、接触感染型ということで、人との接触が最大の感染リスクになるということです。
従って、春の緊急事態宣言下でも、人との接触を8割減らすべきとの指摘もあり、外出自粛がなされ、人の動きが大きく制約され、一旦は感染拡大を抑え込むことができました。
もっとも、これで気が緩んだか、観光業や宿泊業支援の観点から、「Go To」キャンペーンが採用され、関連業界は一服したものの、第3波の大波にやられ、キャンペーンも維持できなくなり、宿泊業など接触型サービス業はまた嵐に巻き込まれました。