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髭男・藤原聡さん、島根銀行で働いた辛い過去を語り共感の嵐。「感情のないアイムソーリー」ほかリアルな歌詞は“苦境の地銀”にルーツとの説

NHK紅白歌合戦にも出場した人気の4ピースバンド「Official髭男dism」のボーカル・藤原聡さんがラジオ番組で語った、地方銀行の行員時代の苦労話がネットで大いに話題となっている。

2日昼にTOKYO FMなどで放送されたラジオ番組「ディア・フレンズ」に出演した藤原さん。その模様を伝えた記事によると、パーソナリティからの「よく頑張ったと思う時期」という質問に対し、地元で銀行員をしながらバンド活動をしていたデビュー前と答え、「朝から夕方まで地元の銀行で働いて、その後に曲を作ったりバンドの活動をしたりとかしていた」とコメント。

さらに当時は、仕事のためにファイナンシャルプランナーなどの資格勉強も並行して行っていたといい、睡眠時間も切り詰めていたという、とにかく多忙な銀行員時代を振り返っていたという。

藤原さんとしては、その時の経験を前向きに捉えているようだったが、放送を聞いていたリスナーからは「壮絶に地銀disやってる」といった声もあがるなど、本人の意図とは裏腹に批判的な発言として受け止める向きが多かったようだ。

豪華本店ビル建設でさらにドツボにハマった島根銀行

メンバーの多くが山陰地方出身のOfficial髭男dismだが、ボーカルの藤原さんも地元の進学校から、これまた地元の国立大学である島根大に入学。そして、島根・鳥取両県に展開する第二地方銀行の島根銀行に入行したという、まさに地元のエリートコースを着実に歩んできた人物だ。

ただ彼が勤めていたという島根銀行といえば、苦境にあえぐ地方銀行の代表格としても知られた存在である。そもそも山陰地方といえば、山陰合同銀行の存在が圧倒的。さらに日銀の金融緩和政策による市場金利の低下を受けて、運用利回りが悪化したことで、他の地銀と同様に厳しい経営を強いられる形となった。

さらに島根銀行にとって痛かったのが、2017年に完成した総工事費約60億円とも言われる豪華な本店ビル。当時は、相次ぐ地銀再編と一線を画すことをアピールして顧客のつなぎ留めを狙うという、要は“見栄”を理由した本店の建て替えが、全国各地の地銀において数多く行われていたようだが、島根銀行の場合はその減価償却費が大きな負担となってしまい、さらなる苦境に陥ったのだ。

その結果、2017年3月期決算では銀行の「本業」の儲けを示すコア業務純益が、なんと赤字に転落。2019年にはSBIホールディングスからの出資を受け、地銀連合構想に取り込まれる格好となった。その後はSBIとの連携効果もあってか、直近の決算では2年ぶりの最終黒字となったものの、日銀のマイナス金利政策は相変わらずなうえに新型コロナの影響もあり、楽観視できない状況は今もなお続いている。

名曲「Pretender」は銀行員時代があってこそ生まれた?

このように苦境が続く全国各地の地銀のなかでも、より厳しい経営状況が続くことから、ネット上では「限界地銀」なる不名誉な呼ばれ方もされる島根銀行。それだけに行内の労働環境もかなり緊張感あふれるもののようで、転職情報サイトに掲載されている同行員たちの口コミを見ると、全行員に高いノルマが課され、上司から達成状況を頻繁に詰められる日常、さらに「5年で3割残ればいい」といった離職率の高さも取沙汰されている。

先述のラジオでは、とにかく忙しかったということを話していた藤原さんだが、それにくわえて上記のようなストレスフルな職場環境下で、かなりメンタルを削られていたのではということも、大いに想像される。ただネット上では、そんな過酷な経験が歌詞のほうにも大いに反映されているのではと、専らの噂だ。

Official髭男dismのセカンドシングル「Pretender」。そのなかに「感情のないアイムソーリー」というフレーズがあるが、これはまさに日々の多忙さや高いノルマ、さらには厳しい詰めなどで、メンタルをゴリゴリに削られてしまった銀行員のなれの果ての姿ではという見解は、髭男ファンからはもとより、銀行に勤めている人からの多くの支持を集めているようだ。

この歌詞が実体験をもとに書かれたかどうかは、もちろん藤原さん本人のみが知るところ。とはいえ、特に社会人たちからの共感を大いに呼んでいるというOfficial髭男dismの楽曲を生み出した源泉のひとつが、実は苦境に喘ぐ地方銀行だったというのは、恐らく間違いがなさそうである。

Next: 「島根大学 → 島根銀行 → Official髭男dism って夢がある」

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