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楽天モバイルにまた行政指導。個人情報漏洩も「300万回線達成」のため公表を後ろ倒しか

通話アプリ上で利用者の連絡先の一覧や発信・着信の履歴などを、他人が見られる状態になっていたとして、総務省が楽天モバイルに対して再発防止策を求める行政指導を行ったと報じられた。

総務省による行政指導の後、3月10日に楽天モバイルが発表したリリースなどによると去年10月、新たに契約したユーザーの1人が通話アプリ「Rakuten Link」において、以前同じ電話番号で契約して既に解約となっていた別ユーザーに関する情報が閲覧可能となっていたという。

さらに去年11月には、同じく通話アプリ「Rakuten Link」において、一部のユーザーに別のお客様のユーザーIDが付与され、それにより他ユーザーの名前や連絡先の一覧のほか発信や着信、メッセージの履歴を閲覧できる状態になっていた。この件によって情報漏洩が確認されたユーザーの数は15人にのぼる。

総務省によると、こうした状態は今月8日までに解消したとのことだが、個人情報や通信の秘密を漏洩したとして、楽天モバイルに対して業務管理の在り方などを抜本的に見直したうえで再発防止策を求める行政指導を行った。

2年で7度という行政指導の多さと高頻度

総務省からの行政指導は、今回の件でなんと7回目になる楽天モバイル。最初の行政指導は2019年3月のことで、基地局の設置場所の確保に早急に取り組むよう求めたものだった。

ただ、その後も状況は改善しなかったようで、同じく基地局整備の遅れを咎めた行政指導が、同19年の7月・8月にも相次いで行われる事態に。しかし、同年10月に本格展開する予定だったMNO事業は、結局この基地局整備の遅れにより、参入が遅れてしまった。

4回目の行政指導は19年12月のことで、これは「無料サポータープログラム」という携帯電話サービスで通信障害が発生し、約3時間にわたって音声通話やデータ通信が使えない状態になったトラブルを受けてのもの。さらに翌年の2020年7月には、同社の独自端末である「Rakuten Mini」において、事前に受けた認証とは異なる設計で製造・販売し、消費者にも説明していなかった問題が発覚し、5度目の行政指導を受けている。

そして2020年9月には、同社が行っていた加入契約キャンペーンにおいて、法令にて定められた上限額である2万円を超える利益提供を行ったという、いわゆる値引き規制に抵触していたとして、これで6度目の行政指導となった。

このように、今回で行政指導は7度目という回数の多さもさることながら、丸2年の間で7回という頻度の高さもあいまって、ネット上では「さすがに多すぎないか?」という怒りの声が相次いであがっている。

問題公表を「遅らせざる」得なかった事情とは?

度重なる行政指導という不始末にくわえて、今回の件でユーザーの怒りをさらに買っているのは、今回の情報漏洩に関する楽天モバイルからアナウンスがあったのが、行政指導を受けた後だったという点。つまり、問題の公表が遅すぎるのではということだ。

楽天モバイル側は、もちろん今回の行政指導を受ける前には、今回の不具合を当然把握していたハズ。現に楽天モバイルのユーザーからは、今年2月下旬から3月上旬にかけて、今回問題となった通話アプリ「Rakuten Link」のアップデートをお願いするメールが、立て続けに届いていたという指摘があり、「まずは現状を説明してからアップデートをお願いすべきだったのでは」と、楽天モバイル側の対応を非難している。

今回の楽天モバイルによる問題公表の遅れ、あるいは「意図的に遅らせた」のは、なぜだったのか。その理由の一つが、契約加入者増加の勢いを削ぎたくなかったからというのは、言うまでもないだろう。加入者300万人までを対象に、1年間の無料キャンペーンを行っていた楽天モバイル。1月下旬には、データ利用量1GB分までは無料という新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」を大々的に発表し、2月以降は新規加入者数が加速度的に伸びることが期待されていた時期だ。それだけに「情報漏洩」という、悪印象にしかならない不祥事の公表は憚られたのだろう。

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さらに、今回の行政指導の対象となったのが、通話アプリ「Rakuten Link」である点も、楽天モバイルにとっては痛いところ。楽天モバイルは格安なデータ利用料金にくわえて、「国内通話がかけ放題」という点も、新規加入者獲得への大きな切り札としていたワケだが、その通話時に用いるのがまさにこの「Rakuten Link」。いわば目玉サービスの根幹に関わるアプリだけあって、だとすればそれにまつわる不具合は、絶対に隠しておきたいところだろう。

あくまで自社の利益を最優先し臭いものには蓋をする、その隠蔽体質に対して批判が集まる楽天モバイル。ちなみに先述の“300万回線”のほうだが、奇しくも今回の行政指導を受けた前日に達成したようだ。過去には楽天の三木谷社長と菅総理との昵懇ぶりも伝えられているだけあり、この偶然としては出来過ぎている行政指導のタイミングにも、疑念の目が向けられそうだ。

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