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中国に住宅バブル崩壊の兆候。日本の二の舞「失われた30年」で習近平体制は終わる=勝又壽良

狂気の経済システムが破綻

中国政府は、不動産バブルを「受動的」なものとしているが、実際は逆で「能動的」であった。

地方政府が、財源対策で土地国有制度を利用し、土地利用権の払い下げ代金(土地売却益)を引上げてきた結果である。これが、住宅価格を恒常的に押し上げるバブル現象を招いた主因である。

その図式を書いておきたい。

1)地方政府の土地売却による財源調達
2)売却益で地方財政を補う(約5割)
3)地価引上げ
4)住宅価格値上り
5)消費者の家計債務増加
6)個人消費縮小
7)GDP成長率低下

中国政府は財源対策として、これまで(2)と(3)の面だけに注目してきた。土地国有制であるから、地価動向は地方政府の財政事情で決まってきたのである。まさに、土地が黄金に化けて打ち出の小槌になった。これによって、インフラ投資を強行してきたが、ついに(5)以下の段階に進んで個人消費を圧迫し、GDP成長率に悪影響を及ぼすまで「病状」が悪化した。

遅まきながら、この事実に気付かされたのである。

こうなると、もはや財政拡張が不可能になる。現状が、前記図式の(7)の最悪状態に入っているからだ。私は、これまで不動産バブルがやがて家計債務を増やし、個人消費を圧迫すると指摘してきた。現に、個人消費が不振状況に追込まれている。

中国政府は、2021年の経済計画では財政支出を昨年よりも減らした。また、今年の経済成長率目標を抑え目にしたり、21~25年の目標成長率掲示を取り止めた。

その理由は、地方政府の財政負担を増せば、地価引上げによる住宅バブルを再燃させるからだ。地方政府には、固有の財源が不足している。貴重な財源が土地売却であるのは、近代国家として「笑うに笑えない」後進性を物語っている。

これまで中国は、政府総債務残高対GDP比率が低いことを自慢してきた。政府には、中央政府、地方政府、自治体、社会保障基金を含む。2019年は52.63%で世界91位である。だが、多額の債務を負う国有企業が含まれていないという「抜け穴」がある。

地方には、固有財源が少ない。そこで、地価を引き上げて財源をつくる。これが、不動産バブルの火元になっている。

この事実が、これまで隠蔽されてきた。土地売却益は本来、負債という性格であろう。地方政府の負うべき債務が、住宅ローンとして民間に転嫁されているからだ。

住宅バブル崩壊が「習近平体制の終焉」を引き起こす

いずれにしても、土地を打ち出の小槌に使うという異常事態が終末を迎えたことは確かだ。

となれば、不動産バブルを継続させるエネルギーが消える。ここで、新たな問題が起こる。もともと、思惑先行で高騰してきた住宅バブルである。都市部の2割は空き部屋とされている。住宅の先高が見込めなければ、一斉に売却に出るだろう。その場合、住宅価格は値下がりに転じるのだ。

株価の暴落に比べて、不動産の暴落は家計に大きく影響するとされている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月12日付)は、次のように報じている。

「不動産は通常、経済とりわけ家計において、最大の富の源泉となる。クレディ・スイスのグローバル・ウェルス・リポートによると、資本市場が大きい米国でさえ、不動産資産(主に住宅)は成人1人当たり4万4349ドルに上り、債券や株式などの金融資産の3万4008ドルを上回る」

中国の家計資産は、圧倒的に不動産である。有価証券や貯蓄よりも多いことを考えると、不動産価格の下落ないし暴落は、習政権を吹き飛ばすほどの威力を持っている。国民の自由を奪ってきた反感・不満が、一挙に噴出しかねないリスクに転化しよう。

習氏は、取り巻きの民族派によって「東洋は興隆し、西洋は衰退している」と吹き込まれ、国内で吹聴してきた。西洋とは、具体的に言えば米国である。

その米国が興隆して、逆に中国が衰退=停滞する局面に向かう事態に陥ったとき、習氏はどう対応するだろうか。国民から総スカンを受けるだろう。あの毛沢東といえども、大躍進運動(1958~61年)で失敗して権力を離さざるを得なかったのだ。習近平氏に至っては当然のことであろう。

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