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日本株を突き落とす3つの中国リスク。ウイグル人権問題が発端、コロナバブルは終焉か=斎藤満

改めて中国リスク

そこへ改めて、中国不安が日本株にも重しになるようになりました。

日本株はもともと中国・香港株の影響を受けやすく、中国株が下げると日本株も下げ、中国株が上がれば日本株も上がります。

その中国株・香港株が週末には反発して日本株を押し上げましたが、一時は2月のピークから1割以上も下げるなど、不安定な形になってきました。

その裏には米国の強硬策があります。

トランプ前政権が米国単独で中国を攻撃したのに対し、バイデン政権は同盟国を巻き込んで中国包囲網を形成、特に新疆ウイグルでの人権侵害、香港、台湾、南シナ海問題などを盾に責めています。

アラスカでの米中高官会談ではこの人権問題で非難の応酬となり、米国、カナダに続いて、EUも中国に制裁を科しました。オーストラリア、ニュージーランドもこれに賛意を示す声明を発表しています。

これに対抗するため、中国はロシアと手を組み、さらに北朝鮮、イランも取り込む可能性があり、新しい形の東西対立の形になろうとしています。

これが日本に対しても様々な影響を及ぼし、日本株にも負担になります。

中国リスクその1:新たな「東西対立」

まず、日本経済は中国市場はもちろん、ロシア、イランとも深く結びついています。

ロシアについては、安倍政権が北方領土交渉の一環で、シベリアなどでの開発協力を進め、天然ガスの北海道へのパイプライン創設も計画されました。

イランとはペルシャの時代から歴史的に深くつながり、近年も三井グループなどが石油資源の開発を進めていました。イランの対日感情も悪くありません。

しかし、東西対立が強まると、日本がこれら地域との経済交流を進めるうえで、抵抗が大きくなります。

日本企業にとっては中国、ロシア、イランとのビジネスチャンスが後退するリスクがあります。

中国リスクその2:ウイグル人権問題が飛び火「国境炭素税構想」

次に、国境炭素税構想が日本にも大きな影響を及ぼしかねません。

もともとは環境保護の視点で考えられた構想ですが、中国の新疆ウイグルでの人権侵害問題が、これに火をつけた感があります。つまり、二酸化炭素排出量が最大の中国を標的にして、二酸化炭素排出量の多い国の製品について、国境炭素税という形で関税を課す構想です。

これが実現すると、中国に進出する日本の自動車業界のみならず、中国で生産したものを米国などに輸出する際に炭素税型の関税が課せられます。

そればかりか、菅政権が脱炭素構想を打ち出す日本も、二酸化炭素排出が多く、高い炭素税が課せられるリスクが高くなります。

それ自体が脱炭素化を促す面はありますが、短期的には日本メーカーにとって、炭素関税が輸出の負担になります。

Next: 欧米諸国の「北京冬季五輪ボイコット」は他人事ではない

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