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「パナマ文書」の目的と国内マスコミが報じない国際金融の闇=吉田繁治

タックスヘイブンはパナマだけではない

タックスヘイブンはパナマだけではない。ほとんどは、米国領と英国領バージン諸島です。バージン諸島はキューバの南東で、抜けるような紺碧の、カリブ海の島々です。ウォール街と、英国のシティ(金融街)のマネーの本拠はバージン諸島です。

世界第3位の米国債保有高

例えば、米国債の海外保有は、1位の中国が$1兆2523億(135兆円)、2位の日本が$1兆1331億(122兆円)ですが、3位はカリブ海の金融機関となっています。金額は$3611億(39兆円)です。カリブ海には、巨大な銀行はない。全部が、英国、欧州、中東の金融機関とファンドの、ペーパー・カンパニーです。

「パナマ文書」問題の核心を報じない国内メディア

中国政府は、パナマ文書に首脳の親族の名前あったことが報じられたので、国内のインターネットでの記載を禁じました。日本政府は、なぜか、早々と「政府としては調査しない(菅官房長官)」と言明しました。

政府の意向を汲むことが多くなっているわが国のメディアは、ほとんど、肝心なところを報じません。

日本人では、約400の個人名が出ているようです。セコムの創業者と親族が、1990年代から持ち株700億円をバージン諸島などに設立した法人に名義移動しているという(WikiPediaからの情報)。売買が行われたのなら違法ではない。また、仮に違法であっても、10年たてばほぼ時効になっています。

本稿で、タックスヘイブンをテーマにして書く理由は、「世界の銀行資産の50%はタックスヘイブンにある」とされているからです。

世界の銀行資産は、世界のGDPの約2年分で、$120兆(1京3000兆円)でしょう。その半分なら$60兆(6500兆円)です。金融はその根底に、本質的な怪しさをもっています。

日本の銀行・信託・証券の総資産は官民で1000兆円くらいでしょう。わが国の銀行が、タックスヘイブンに移動しているマネーは、おそらく500兆円まではいかない。50%より少ない300兆円でしょうか。

2016年12月での、わが国の対外資産は945兆円あります(対外負債は578兆円で、対外純資産が366兆円です)。この対外資産のうち30%くらいがタックスヘイブンにあるとすれば、ほぼ300兆円です。

わが国最大の三菱UFJフィナンシャル・グループの総資産が286兆円(2015年9月現在)ですから、おおよそその総資産並みです。英や米国の金融機関の口座に預けた場合、それが、タックスヘイブンに行くことも多いのです。

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