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「パナマ文書」の目的と国内マスコミが報じない国際金融の闇=吉田繁治

「パナマ文書」は米国発の情報爆弾か?

なぜ、このパナマ文書が明らかになったのか、理由は不明です。完全版は、国際ジャーナリスト連合の約400名によって、2016年5月に明らかにされる予定です。

英国や欧州の金融機関の名前は出ても、米国の金融機関と政治家の名前がまだ出ていないことから、米国政府がかかわっている可能性もあります。

ウィキリークスでは、パナマ文書の流出に、米国国際開発庁ジョージ・ソロスもかかわっていると言う(真偽は不明)。パナマは事実上、米国の支配下にあるので、この説には親和性もあります。

名前が出ている中国、ロシア、産油国の首脳と親族に打撃を与え、体制を揺るがすことが目的の「情報爆弾」かもしれません。戦争の形は、地上戦、海戦、空戦の物理的なものから、通信のサイバーテロ、情報爆弾に変わりつつあるからです。

FRBが増発している$4兆のマネー、そして、ユーロのECBのマイナス金利マネーは、金融機関とファンドによって相当部分がタックスヘイブンに流出しているかもしれません。

これが米国と欧州のデフレの原因も構成しているでしょう。増発マネーが、金融商品と株の売買に使われ、「企業への融資→設備投資」という実体経済には回っていないからです。

日本の株の売買の70%(日量約2兆円)は、オフショアからのものとされます(東証)。海外の日本株の所有は約30%であり、金額(残高)では「時価総額約500兆円×30%=150兆円」です。

平均の所有期間は「残高150兆円÷日量2兆円=75日」です。買って75日(約3カ月)で売買されています。

世界の銀行資産の50%を占めるオフショア・マネー

オフショアから売買のうち、相当部分(推測50%)は「黒い目のマネー」でしょう。日本の金融機関がタックスヘイブンに設立したファンドか、またはオフショアのヘッジ・ファンドに預託したマネーと推測される部分が混じっているはずです。

割合は不明ですが、このオフショア金融の50%はあると思っています。ヘッジ・ファンドは、通貨、国債、社債、株、資源やコモデティでポートフォリオを組み、分散投資しているので、その全容はわからない。

世界では、オフショアが本拠地のヘッジ・ファンドに預託された元本マネーは、$2兆から$3兆(216兆円から324兆円)と言われます。ほとんどが先物やオプションなので、10倍くらいのレバレッジはかかっていて、総額で2000兆円から3000兆円の投機マネーになっているでしょう。

オフショアを本拠地にするのは、他にシャドー・バンクです。シャドー・バンクは、預金保険の対象にならない投資銀行を含むものであり、大手では、米国のJPモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスなどがシャドー・バンクの範疇にはいります。

そのマネー総額は、中国も含んで、世界で$60兆(6480兆円)と言われます。$60兆の多くの所在地は、オフショアになっているでしょう。

世界の通貨市場、商品市場、株式市場、社債市場で売買をしながら駆け巡っている巨大マネーの本流は、国籍を持たないオフショア・マネーです。古典的な銀行の、古典的な融資や現物株の売買ではない。

世界のデリバティブの契約総額は$552兆です(2015年第1四半期6京円:BISの統計)。世界の実体経済であるGDP($6000兆)の10倍です。

もっとも多いのは、「金利交換(固定金利と変動金利のスワップ)」です($434兆:BIS)。これらのデリバティブのほとんどは、形式上は、タックス・ヘイブンで作られています。

デリバティブは金融機関同士のマネー契約です。商品とサービスの生産と売買である実体経済には、間接的な関係しかもっていません。

金融機関同士の取引の巨大化(=デリバティブ化)が、2008年のリーマン危機以降、日米欧と中国の中央銀行が$10兆(1080兆円)以上のマネーを増発しているにもかかわらず、消費財のインフレになっていない理由です。GDPの計算にはいる実体経済(商品の売買)には使われていない。

ただし、世界の大都市不動産の高騰、そして、金利の低下(=国債価格の上昇)、株価の上昇には大きく関係しています。つまり、金融資産(国債を含む債券と株式)の購入、そして不動産の購入マネーになっています。

Next: オフショア・マネーの総本山はBIS(国際決済銀行)である

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