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トヨタ、電動化と高級化で世界トップ独走へ。上場来高値更新でもまだ「買い」か?=栫井駿介

「高級化」に成功

では一体どんな車が売れているのかというと、今流行っているのがSUVです。

トヨタで言いますと、ラブフォーやハリアーといった、高級感があり、その一方でスポーティなモデルが非常に大きく売れています。そして、これらの車は普通の乗用車に比べると、少しお高めの水準になっています。

こうやって高めの車が売れることによって、販売台数はそこそこながら、売上の単価が伸びているということになります。

すなわち、これは「高級化」が起きているということになります。

トヨタの高級化がどれぐらい進んできているのかというと、次のグラフを見ればわかります。

トヨタ003

1台あたりの純利益が、あのベンツを売っている会社のダイムラーが35.3万円、それからBMWは32万円、そしてテスラが20.1万円、フォルクスワーゲンが15.4万円というところになっています。

トヨタは、世界販売台数では一二を争うフォルクスワーゲンの15.4万円というところに近かったのですが、この単価が上昇したことによって、どんどんダイムラーやBMWなどの方に近づいていっていると言うことができます。

実は同じような傾向が読み取れるのが、このグラフでは一番低い数字となっているのですが、フォルクスワーゲンも同じような傾向が読み取れます。

フォルクスワーゲンは実は色んな車のブランドを持っているのですが、それぞれの売上高と利益の推移比較です。

トヨタ004

普通の「フォルクスワーゲン」と名のついた乗用車に関して、売上高では圧倒的に一番多いのですが、実はほとんど利益を出せていません。

一方で、大きな利益を稼いでいるのが、売上高では3番手となるポルシェです。このポルシェが実は、フォルクスワーゲンの利益の半分ぐらいを叩き出しているということになります。

次に多いのがアウディです。こちらもSUVが中心のどちらかというと高級化路線ということになります。

すなわち、車を売るにあたってこれから利益を上げていこうと思うなら、どちらかと言うと高級路線に舵を切った方がいいのではないかということが想定されます。

皆さんも自分の立場になって考えればわかるのではないかと思います。

車を持つことは、もはやステータスの表現

今、車を持つというのは、もはやステータスになりつつあります。都市部に住むお金のない若者は、車なんか買わなくてもやっていけます。

そんな中でわざわざ高いお金を払って買うような人は、やはりそれなりの見栄えのするものを買いたいと思うわけです。

だからこうやってポルシェが売れますし、実際にはそんなにお金を持ってなかったとしても、見栄でポルシェを買うという人も少なくないかもしれません。東京の街中に行くと、ポルシェなどは結構な数が走っています。それだけ車に求められるのは、もはやステータスということになります。

足元ではこの自動車業界は「電気自動車」の波が訪れていると言いますけれども、もちろん環境に優しいということはありますが、それだけで買いたいとはなかなかなりません。

例えばテスラが売れているのは、単に電気自動車だからということではなくて、やはり高級感といったところも少なからずあると思います。

逆にどうしても生活の足として自動車が必要だという人は、軽自動車などを買うことになるのでしょうけれども、そこはいよいよ価格競争の世界になってきますから、そこで利益を出すというのはなかなか難しいです。

しかし世の中的には、EVをたくさん作って電気自動車を普及させなきゃいけないというところになってきていますが、一方で電池の価格が高いというところで、それを難しくしているという側面もあります。

Next: 業界全体で加速する「高級化」路線。トヨタ株はまだ買える?

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