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東京五輪開催前に日経平均が下がった当然の理由。コロナ無関係、五輪と金融市場の関係を見よ=角野實

日経平均は7月に入り、欧米株が強含む中、ひとり負けの状態が続きました。これにはオリンピック開催国特有の理由があります。政府や日銀の責任と言うのは、筋違いでしょう。(『角野實のファンダメンタルズのススメ』)

※本記事は有料メルマガ『角野實のファンダメンタルズのススメ』2021年7月19日号の一部抜粋です。好評配信中!ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。

データなきコロナ対策で経済疲弊

7月に入り、経済再生担当相である西村さんが、飲食店で営業自粛に応じないお店に対し金融機関からの協力を要請すると発言したことが物議を醸しました。

この発言の問題は当然のことですが、そもそも、西村さんのいう、飲食店が営業自粛に入らないと、コロナ感染拡大は防げないのか、というデータの説明が今までに一切ありません。

どういうことかといえば、たとえばカラオケ店でクラスターが発生をしたと言いますが、、それが感染者全体の何パーセントを占めて、その影響が甚大か否か、誰もが甚大だと判定するデータを公表もしていない…ということが問題だと言っているのです。

つまり、飲食店で飲酒を提供するサービスをして、どのくらいのコロナ感染が防げるかどうかも具体的なデータもないのに、このような自由を保障している政府が制限をすること自体がおかしい、ということになるのです。

たとえば、飲酒サービス提供を実施する店舗が完全に停止をして、現在1,000人いる感染者が500人まで減らせるというのであれば、西村さんの発言はそれなりに合理性があったのです。

ところが、実際にそれをやって、どの程度の効果が出るかもわからないような代物の提案を、西村さんは強権を発動しそれを強要したことが問題なのです。

たとえば飲酒サービスを禁止して、コロナ感染がゼロになるのであれば誰もが賛成をすると思います。そして営業停止に見合うそれなりの保障をきちんとすれば、誰も賛成することだと思います。ところが、それをやったところで感染拡大が収まるという保証もなく、そしてさらなる感染拡大が起これば、誰が責任を取るのかという問題に、誰も疑問を呈さないのです。不思議なことだと個人的には思います。

責任が発生するのが嫌だ、というのであれば政治家はデータを示せばいいだけの話ですが、そのデータもなく、そして結果が伴わない場合の責任問題もなしに「何を言っているのだ?この人は」ということになるのは必然です。

西村さんの物言いも問題ですし、またその自由を制限するのに保証も十分ではない状態でのさらなる規制強化にみなさん文句を言っているようですが、実態は、根拠がない規制が一番の問題なのです。

日銀は「株価を上げる気はない」と宣言している

日経平均は、7月に入り、欧米株が強含む中、ひとり負けの状態が続いています。

この理由も、本当にいい加減でテキトーなものが多く、たとえば、日本政府や日銀の無策によるもので、きちんと対策を打てば、日経平均は上がる…という意見が多いようです。

そもそも日本銀行は4月から国債の買い入れオペは減額をしており、今まで株価が不景気にも関わらず、上昇したのは金融緩和を拡大したことが上昇の主因であるというのがコンセンサスになると思います。

つまり、4月から緩和を減らしているのですから、日本銀行には、株価を押し上げる気はありませんよ、と表明をしていますし、この4月からの措置も6月末に7月以降も継続すると発表しています。

つまり、日本銀行は「株価をこれ以上は上げる気はない」と宣言しているのに、日銀が無策だから、と批判する人は何を考えているのかと思います。

さらにいえば、一般的に日銀砲と言われる日銀のETF買いについては、3月の末までは毎日のように買い続けていたのが、4月以降はピタリと止んでいるのが実情でしょう。少しは買入を行っていますが、現在の状態が3月末までと、今ではあまりにも少なくなっているのは少し詳しい人ならご存知のことでしょう。

このように「日本銀行は株価を上昇させる政策を取っていませんよ」と、投資家に対してメッセージを送っているのにも関わらず、日経が下がるのは政府、日銀が悪い、というのは、まさに自分の都合のよい論理を他人に押し付けているにほかならないのです。

では、なぜ、7月に入って、4~6月は横ばいか少し下方向だったのが、急激に欧米株と比較して日経平均は下がるようになったのでしょうか?

Next: なぜ、日経平均株価は7月に下がったのか?

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