なぜ、日経平均株価は7月に下がったのか?
4月以降に世界の株価の上昇が一服しているのは、各国が金融緩和の手を緩めた結果になります。日本銀行の買い入れ減額は、この国際合意に基づく合意になるのですから、批判をしても仕方がありません。
自国の利益のために国際的な合意を反故にし、緩和を継続すれば、まわりまわって結果的に日本の不利益になりますので、政治家や官僚がこの合意を遵守するのは当然の帰結です。
そして、その中でアメリカは7月に入り緩和を増大させています。これは、ドルが高くなった結果で、緩和を行うということは通貨を下げた需給要因からということの帰結です。
去年1年間アメリカドルはドル安を国際合意の結果、推し進めましたが、今年に入りドル高を実行しています。その結果、アメリカの景気が減速をしては困る、ということが国際合意であり、それを履行しているだけの話です。これがアメリカの実情です。
では、日本はどうなのか、ということです。
日本は7月23日にコロナ禍の中、オリンピックが開催されます。このオリンピック開催の年というのは過去例外なく、歴代の開催国は株価が1か月前くらいから下がり始めるのです。
この要因は、東京オリンピックであれば、世界中の外国人が東京や日本のそのほかの各地を訪問するわけですから、円の大量の需要が発生するのです。
その結果、大幅な円高が起こっている。これが7月に入って、日経平均が下がる理由なのです。
オリンピック開催国の株価は約1か月前から下がり始める
これは過去のオリンピック開催国、もれなくそうなのです。つまり7月23日に開催される前まで円需要が起こり、円が強くなり日経平均は下値を探りやすくなるのです。それだけの話です。
通貨と株価の関係は、通貨が上昇すれば、株価やそのほか、不動産、BTC、石油、金などは下がり、反対であれば、リスク資産は上昇するのです。
金融緩和は通貨の需給をルーズにするので、リスク資産、株、不動産などの価格を引き上げ、そして、金融緩和縮小は通貨の需給をタイトにするので、リスク資産の価値を押し下げるのです。
整理をすると、日本銀行は4月から金融緩和を縮小したので通貨価値が上昇した結果、株価が下がったのです。
そしてオリンピック開催で円の需要が盛り上がるために、円の価値がただでさえ強いのに、さらに強くしたのです。結果としてリスク資産の代表格である株は下がっているだけの話なのです。
強調しておきたいのは、過去のリオ、ロンドン、北京、シドニー、アテネでも起こった現象であり、あまりにも通貨が強いために株価が反落しているのです。
つまりオリンピックとマーケットの関係を熟知していれば、この株価の急落は読めるものであり、決して突然、起こったことではない、ということです。つまりわかっている人はわかっていたことなのです。