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菅政権は「安倍の尻拭い」15課題をそのまま残して終焉へ。消費税撤廃こそが日本復活の切り札だ=矢口新

諸問題の多くは税収が上がらないことが原因

「貧すれば鈍する」という言葉があるように、ワクチン開発や、医療体制の維持を含め、ここ20年余りの問題の多くは「カネがない」ところから来ている。リスク管理には資金的な余裕が必要だからだ。

1988年度の税収が50.8兆円で、消費税が加わった後の1989年度から2019年度までの平均税収が50.7兆円などという馬鹿げたことがあるだろうか?

消費税や社会保険料は必ずしも豊かでない一般大衆から取る税金だ。(注:OECDは社会保険料も税金だと定義している)。日本はこの30年間一般大衆から取る税金を引き上げることで、個人消費を殺してきた。

その結果、経済は低迷し、税収も増えなかった。さらには、大金持ちから取る所得税の累進課税率を下げ、法人税率も下げることで、景気が良くなっても税収が増えない税制に変えたのだ。

これを変えない限り、次期首相には誰がなっても大きな成果は期待できないどころか、政治生命の終わりにもつながりかねないと言える。

その意味では、次期自民党総裁は、これまでにない覚悟がいる要職ではないか。

日本政府の債務はGDP比で過去最大を更新し続けている。世界でも突出して多いそうした借金を可能にしているのは、日本国民が持つ資産が担保となっているからだ。以前の過去最大の債務は第二次世界大戦時だが、その時は国民の預金封鎖に次ぐ大幅増税と、ハイパーインフレーション、旧円から新円のデノミで「解消」した。

債務残高は空前の規模(出所:財務省)

債務残高は空前の規模(出所:財務省)

(注:IMFの試算では、2020年はGDP比260%超)

ポスト菅がやるべきは「税制改革」

第100代内閣総理大臣となる日本の次期首相、あるいはその後の何代かの首相の選択肢は、政府機能を維持するためにだけ、前例のように「国民の資産を没収」するか、あるいは経済成長を促し、税収増が見込める税制に変えるかしかない。

しかし、国民の資産を没収した後も現状の税制のままでは、単に民も国も貧乏になるだけで、先の成長はますます見込めなくなる。

つまり、日本を救うには消費税の撤廃と、所得税の累進課税率の拡大、法人税率の引き上げを伴う「税制改革」しかないのだ。

Next: 次の首相も結果を残せず「勇退」か

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