株価への影響はしばらく続く
一方、株をはじめリスク資産価格への動揺はしばらく続きそうです。おカネは余っていても、今般の出来事がどれほどの「危機」なのか、把握するには至らず、多くが様子見の姿勢を強めるためです。
様子見姿勢を強めるということは、買う人も売る人も減ることを意味します。「売りたーい」と叫んでも「しーん」としたままでは売ることもできません。勢い「いくらでも良いから売りたーい」へと転じます。
「理財商品」を国外投資家が買っているとリーマン危機の再来も
また、恒大集団も販売していた、10%超の利回りを謳う「理財商品」を中国国外の投資家がどれだけ保有しているのかも気がかりです。
中国国内で話が完結すれば、損失も中国国内で済みます。しかし、海外投資家が低金利にかまけて多額のお金を借りて、その資金で理財商品への投資を行えば、これはリーマン危機時に行き詰った「サブプライムローン」問題と同じとなります。
サブプライム問題でも、信用力の低いローンを集めて、これをクレジットデフォルトスワップ(CDS)などの派生商品(デリバティブ)を使ってリスクを何倍にも高め、挙句、破綻と共に借りていた資金も返せず、焦げ付きを生みます。
23日以降、恒大集団の債務は利払いや返済(償還)期限を相次いで迎えます。この債務が不履行となった時、どれだけの人がトバッチリを喰らうのか、先ずはそこを観察するしかなさそうです。
慌てて押し目買いに動かなくても、次の機会はちゃんとやって来るでしょうし。
今回のまとめ
・恒大集団の債務不履行問題を受け、世界の株価は下落
・「理財商品」にどれだけの人々・おカネが関わっているか先ずは確認してから
・「~ショック」って安っぽい和製英語で嫌いです
『徒然なる古今東西』(2021年9月21日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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