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なぜ日本政府は危機に弱いのか。迫る3つの厄災、「責任逃れ」を許す意思決定システムの欠陥で亡国へ=高島康司

危機その3:政府の信用失墜、国民の分断、激しい抵抗

いま欧米や日本などの主要な先進国では、国民の政府に対する信用が失墜しつつある。

日本は新型コロナウイルスの蔓延を押さえ込むことに失敗し、全国各地で医療崩壊を引き起こす状況になっている。

またアメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどの欧米諸国では、コロナの蔓延をなんとかいまは抑制できているものの、それを実現するために導入した厳しいロックダウン、移動制限、マスク着用の義務化、そしてワクチンパスポートの導入などの厳しい処置は国民の強い反発をまねき、暴動のような激しい抵抗運動を引き起こしている。

このような状況から、欧米諸国や日本の政府は国民の信頼を失いつつある。この結果、かなりに数の国民は容易には政府の指示と方針には従わない状況になっている。これから国民の怒りが爆発し、政権が不安定化する国々も出てくるかもしれない。

日本では、目に見える形の国民の怒りの爆発はないが、政府の信用は低く、感染拡大防止のための行動制限の呼びかけにも反応しなくなっている。

政府へのこうした不信感といらだちは、11月にもやってくる可能性が高い第6波には、さらに表面化することだろう。政府がどれほど自主的な行動制限を国民に訴えようとも、また法的な強制力のある欧米のような強いロックダウンを導入しても、政府への信頼を失った国民はこれを無視するだろう。

その結果、第6波のパンデミックはさらに拡大し、深刻になるかもしれない。

日本政府はこうした危機に対応できるのか?

危機的な状況を引き起こしかねない出来事はほかにもたくさんあるだろうが、当面問題となる可能性が高いものだけ列挙してみた。これらはどれも、日本を危機的な状況に追い込む出来事だ。

幸運にもこれらはまったく起こらないかもしれないし、逆に、いくつかの危機が連鎖して一緒にやってくることもある。いずれにせよ、そうした状況になったとき、日本政府と官僚機構は危機に適切に対処できるのだろうか?

新型コロナウイルスのパンデミックに対する日本政府の対応は、お世辞にもほめられるものではない。第3波の終息直後には蔓延拡大の可能性を無視し、「GoToキャンペーン」を強行した。その結果、第4波の新たな蔓延を引き起こした。

さらに、第5波の感染拡大が続き緊急事態宣言を出しながらも、オリンピックとパラリンピックを開催した。これはお祭り騒ぎのなかで人流の抑制をうったえるという矛盾したメッセージを国民に送ったため、人流は抑制されず東京は1日の感染者数が5,000人を越えるという最悪な事態になった。

しかし、そうした状況でも、各国がいち早く作った野戦病院のような緊急医療施設は一向に建設されなかった。新規感染者と重傷者の拡大で医療機関の収容能力は限界に達し、各地で医療崩壊が起こった。多くの感染者が自宅療養を強いられ、死亡している。

このような日本政府の対応を見ると、すべての対策が後手後手になり、オリンピックをやりながら感染を拡大させるというような、チグハグな対応しかできていないことは明白だ。

このチグハグな対応は、アフガニスタンへの自衛隊機派遣でも見られた。C-2とC-130という大型の戦術輸送機を2機も派遣しながらも、邦人1人とアメリカに依頼されたアフガン人14人だけを乗せ、退避するという始末だった。現地の日本大使館で働く500人を越えるアフガン人とその家族は、置き去りにされた。

Next: なぜ危機に対して日本政府の対応はここまでチグハグなのか?

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