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習近平が青ざめる中国経済の大失速。不動産バブル崩壊で日本と同じ「失われた30年」へ=勝又壽良

世界最大の不均衡経済

中国の住宅販売状況は最近、どうなっているのか。

中国国家統計局の発表によると、2021年11月の住宅販売(金額ベース)は前年同月比16.31%減少し、7月から5カ月連続の落ち込みである。7月と言えば、中国恒大の資金難が表面化し始めた時である。これでは、消費者が警戒して購入に二の足を踏んで当然であろう。

現在、当局による不動産規制の一部緩和で住宅ローンは増加したが、価格下落の流れは続いている。11月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で価格が下落した都市の数は8割超の59で、10月から7都市増えている。

前述の通り、11月の住宅販売は16.31%減少した。これでは、安閑としていられない下落状況である。この下落幅が続くと、22年の中国経済は直撃される危険性が高まるのだ。

供給サイドでは、11月の新築着工(床面積ベース)が前年比21.03%減と、8カ月連続のマイナスである。不動産開発会社の不動産投資も同4.3%減少した。こうした中、11月以降少なくとも6都市が住宅購入を促進するため、補助金支給や減税などの措置を導入している。地方政府の手加減が始まっているのだ。

中国の不動産取引サービス大手、易居研究院によると、国内上位100都市の住宅在庫が11月に5年ぶりの高水準を記録した。中小都市で需要が低迷したことが背景にある。住宅在庫がここまで膨れあがってくると、事態は決して生易しいものでないことが分かるであろう。

住宅不況がGDPに与える大打撃

米国の大手投資銀行ゴールドマン・サックスは、住宅不況の影響について、次のように予測している。

1)土地販売額15%減・住宅価格5%減のケース:22年のGDPマイナス1.4%
2)土地販売額30%減・住宅価格10%減のケース:22年のGDPマイナス4.1%

(1)は、国有地の土地販売額が15%減となり、同時に住宅価格が5%減となれば、これだけで22年GDPを1.4%押し下げる。

(2)は、土地販売額30%減で住宅価格10%減となれば、22年のGDPがマイナス4.1%押し下げられる。

この予測は、中国経済が「土地本位制」であることを雄弁に物語っている。地価下落が想像を超えた破壊力を持つことが分かるのだ。「土地本位制」なる言葉は、私の命名である。「金本位制」にヒントを得て付けたのだが、ゴールドマン・サックスの予測は、中国における「土地本位制」の凄まじさを証明している。22年の中国経済は、こうして波乱含みの展開になりそうである。

Next: 不動産バブルを延命させる劇薬投与/人口減への恐怖から迷走

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