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クリスマス前に深刻なゲーム機不足。半導体不足、メーカーの日本軽視、転売ヤー横行の合わせ技で日本のゲーム文化は新旧ともに風前の灯火か

様々な業界に多大な影響を及ぼしている世界的な半導体不足だが、クリスマス商戦の主力商品のひとつであるゲーム機も、そのあおりを大いに喰らっていると朝日新聞が伝えている。

記事によると、ソニー・インタラクティブエンタテインメントの「プレイステーション5(PS5)」が特に、半導体などの部品不足によって生産が抑えられているため、品薄の状態が続いているといい、初売りなどの正月商戦にも影響が出そうだという。

それにくわえて、ネット上での転売行為も変わらず横行しているといい、フリマアプリでの価格は定価を上回る状況が続いているという。

発売後1年経っても日本でPS5品薄が続く理由

“サンタも困る”状況だと伝えるこの記事だが、ネット上の反応を見てみると、PS5の品薄状態が続いているのは「ソニーが欧米の市場と比較して、日本市場を軽視しているのがそもそもの原因」といった声が大半のようである。

日本国内では2020年11月に発売され、今年9月には国内推定累計販売台数が100万台を突破したと伝えられたPS5。しかし、つい最近も1週間の推定販売台数が2000台弱に激減したといった報道も出るなど、日本国内における品薄は発売直後から断続的に続いている状況だ。

このように日本においてPS5の販売台数が少なくとどまっているのは、半導体不足などで世界全体での生産数が限られるなか、ソニーはそれらを日本ではなく北米や欧州の市場へ多く振り分けているからだという。なぜ、そういった方針を取るのかというと、特に北米においては同じく次世代ゲーム機として注目を集めている「Xbox Series X」との激しいシェア争いを繰り広げていることが大きいとのこと。それに対し日本では、Xboxがもともとほとんど売れてないという状況から、製品は北米や欧州の市場へと重点投入され、日本は後回しにされてしまうというのだ。

そのような事情で日本の市場に出回るPS5の台数が少なくなるなかで、不定期的に僅かに市場に出回る製品も、その販売数の少なさもあって、転売ヤーなどによって容易に買い占められてしまうといった状況。転売ヤー対策としては、PSユーザー向けのオンラインサービスである「PlayStation Network」などのアカウントを持っているヘビーなユーザーを優先して、1人1台づつ限定的に売っていけばという意見もあがるが、メーカー直販をメインにすると家電量販店などの小売店があまり良い顔をしないこともあって、その実現は難しいようである。

このように様々な事情が絡み合って品薄状況が続くPS5だが、発売からすでに1年以上も経っていることもあって、ゲーマーたちからはPS5への熱もすっかり冷めてしまったとの声も少なからずあがっている状況だ。

レトロゲーム界隈も食い荒らす転売ヤー

いっぽう、最新の次世代ゲーム機がダメなら、子どもの頃に夢中になったファミコンや初代PSといったなつかしのゲームに回帰しようということで、ここ数年でレトロゲームが人気になっているようだが、こちらも最近では人気が過熱し過ぎて、異常な価格高騰が起きているという。

報道によると、数年前は捨て値で買えたソフトがここに来て価格が異常に高騰しているほか、ゲーム本体も価格上昇が続いているとのこと。このような状況と前後して、レトロゲームを資産として保有し、高値での売り抜けを目論むといった「レトロゲーム投資家」なる者までもが出現しているという。

記事内では“投資家”としているが、価格上昇を見込んで買い占めるという行為は、まさに転売ヤーそのもので、純粋にゲームを楽しみたいと思っている層の機会を奪っていることを考えれば、かなり罪深い存在である。半導体不足の問題やシェア争いの事情はともかくとして、転売問題に関してはメーカーをはじめとした業界全体で相当に抜本的な対策を講じる、もしくは法規制の整備を早急に進めるなりしないと、ゲーム文化全体がすっかり食い荒らされてしまう事態も今後大いに考えられそうだ。

Next: 「もしかして転売ヤーは日本潰そうとしてらっしゃる?」

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