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賃金の4割ピンハネ。なぜ人材派遣会社の中間搾取は許されている?労働基準法をすり抜ける悪魔の雇用システム=神岡真司

違法オンパレードの人材派遣業界

驚くべきことに、この業界はスタート時点から違法のオンパレードです。

・「禁止業種への派遣」
・「無許可・無届営業」
・「偽装請負」
・「二重派遣」
・「女子の容姿のランク付け開示」
・「派遣先への履歴書開示」
・「派遣先企業への事前面接(会社訪問の名目で実施)」
・「マージン率の非開示」

こんな悪徳業態の企業が堂々と上場しているのですから、笑止千万といえるのです。

今でも違法だらけの業界ゆえに、何度も法改正が繰り返されてきましたが、実態は変わりません。

いつでも首切り可能――というのが、そもそもの派遣業界の「キモ」なので、大手派遣会社は政治献金や接待供応で与党政治家らを篭絡し、抜け道だらけの法改正で乗り切ってきたからです。

バイトやパート、契約社員など、有期雇用の非正規雇用労働者は、今や労働者の4割近く(2020年:2,090万人)にのぼり、そのうち派遣労働者が占める割合は6.6%(同138万人)を占めます。

欧米の場合、派遣社員の報酬は正社員を雇うよりも高い

そもそも、労働者派遣という業態は欧米で始まったシステムです。

欧米の企業は、正社員であっても、人種・国籍・宗教などによる差別「以外」なら、従業員のクビを簡単に切ることができます。

日本のように、派遣労働者ゆえに簡単にクビ切りができるシステムとは異なり、正社員であっても、クビ切りが容易なのです。

にもかかわらず、なぜ「派遣労働者」が必要かといえば、専門スキルのある人材を、臨時プロジェクトなどで必要な時だけ、仕事をしてもらう利便性が優先されたからです。

そのため、欧米の場合の派遣社員の報酬は、正社員と同じ仕事なら同額の報酬が得られます。「同一労働同一賃金」の原則が働くからです。

また、高度な専門スキルがある派遣労働者の場合は、派遣先企業の正社員よりも、はるかに高額の報酬が支払われるようになっています。

そして、派遣会社には、派遣労働者の賃金に上乗せした手数料を払うことになりますから、臨時に派遣労働者を利用すると、正社員を雇うよりも高くつく場合が往々にしてあるのです。

日本の労働者派遣企業の場合は、自社の派遣を企業に受け入れてもらうために、労働者派遣企業同士が競争して、報酬のダンピング合戦が起こりがちです。

そして、そのシワ寄せが、派遣労働者の賃金に及ぶことになるのです。

Next: 労働派遣事業は「3~4割のピンハネ率」で大儲け

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