中国と日本のバーチャルキャラクターはどう違うか
ただし、バーチャルキャラクターに関して日本の影響は大きく、中国人も大きいと感じているのに、なぜか日本のようなVチューバーのような2次元キャラクターというのは多くありません。
どちらかというと3Dキャラが多く、しかもより実用的なキャラクターが多いのです。例えば、アナウンサー、俳優、受付、説明員などの代わりをするバーチャルキャラクターが多くなっています。ビジネスに直結をする領域の方が開発をしやすいということもあるのかもしれません。
もうひとつの大きな違いが、スマートスピーカー、AIアシスタントが普及をしていることです。このAIアシスタントにビジュアルをつければバーチャルキャラクターになります。日本の場合は、なぜかスマートスピーカーは一過性のブームで終わり、AIアシスタントもあまり使われているように思えません。
これはなぜなのか。国民性としか言いようがないと思いますが、この違いがバーチャルキャラクターにも影響をしています。
テキスト系ニュースがバーチャルキャラクターを活用
では、中国には、どんなバーチャルキャラクターがあるのでしょうか。今回は、主要なバーチャルキャラクターを紹介をしていきます。
中国のバーチャルキャラクターで、最も広く使われるようになっているのが、ニュースのアナウンサーです。特に新聞系のテキストメディアは、そもそもアナウンサーがいないため、バーチャルキャラクターを採用することで、映像ニュースが簡単に作成できるようになります。
外観は、実際のモデルとなっている人間から合成し、音声はテキスト原稿を読み上げるTTSを使い、手を挙げるなどの簡単な動作パターンも組み込まれています。理想的にはテキストと静止画資料、動画資料を用意して簡単な編集を行うだけでニュース番組が完成できることになります。
これはテキストメディアにとってきわめて重要です。なぜなら、テキストニュースよりも動画ニュースを好む人が次第に増えているからです。例えば、車を運転している時、家で寝そべっている時、テキストニュースを読むのではなく、動画ニュースを流して音声だけ聞いているという人が増え始めています。そういうニーズに対応することができます。
もうひとつは拡散です。SNSにテキストニュースを流しても、他のメディアも同じニュースを流すために拡散することはもはや期待ができません。しかし、動画ニュースであれば、動画共有サイトやショートムービーに転載をされて拡散をすることが期待できるようになります。
テキスト系メディアにとって、スタジオを設置し、アナウンサーを雇い、撮影を行うというのはかなりの投資になります。しかし、バーチャルキャラクターであれば簡単なPC上の作業で、ニュース番組が制作できるようになります。
最も有名なのは、通信社の新華社の小浩(男性)と小萌(女性)の2人です。このバーチャルキャラクターは検索エンジンを運営するテック企業「創狗」(ソウゴウ)が開発をしています。
▼記事の真ん中あたりに、バーチャルアナウンサーの紹介動画があります。
http://www.xinhuanet.com/politics/2019-02/19/c_1124136341.htm
また、ネットメディアの「ポンバイ」もバーチャルアナウンサー小菲を使って、動画ニュースを作成しています。開発は百度(バイドゥ)が行なっています。
▼ポンバイの小菲。朝のニュースと夜のニュース番組を担当している。
https://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_3951118