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ビットコイン相場を脅かす「米大統領令」発令迫る、その中身は?“デジタルドル”準備と暗号資産の監視に本腰を入れ始めたワケ=高島康司

「大統領令」発表はまもなくか

事実、Yahoo Financeなどの報道によると、バイデン大統領は、「デジタルドル」への連邦準備制度の報告書(PDF警告)を受けて、来週、暗号通貨の監視に関する大統領令を発表する予定だ。

この大統領令では、アメリカが独自の「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」である「デジタルドル」を創設するための調査をさまざまな政府機関に委託するほか、決済システム、環境への影響、金融安定性の問題、その他の暗号通貨の取り扱いに伴うリスクに関する報告書の作成を任せるという。

またホワイトハウスは、暗号資産に対する全面的な取り組みの一環として、「財務省」や「国土安全保障省」などの省庁にも、デジタル通貨を長期的に扱う際に発生する多くの課題や懸念に対処するよう求めているようだ。

FBIは、毎週のように発生していると思われる大規模な暗号通貨の犯罪を捜査するための専門部署を設置している。また、「証券取引委員会(SEC)」と「連邦準備制度理事(FRB)」は、それぞれの管轄下にある「市場保護措置」を調査する。

さらに、2008年の金融危機後に設立された「金融安定監督評議会」は、各国が暗号通貨を取引する際に発生する金融安定リスクを調査することになるようだ。

このように今回の大統領令は、米政府の関係機関に暗号資産の包括的な調査を指示して、デジタル通貨法制の標準化を目指すものだ。

つまり、暗号資産と「CBDC」では、アメリカが世界のスタンダードとしての標準を定めるという明白な動きである。そのためこの標準化の動きは、独自の「CBDC」を検討または構築している世界の他の国々と協力することを示している可能性が高い。安全保障系のシンクタンク、「アトランティック・カウンシル」の分析によると、その数は90カ国近くに上るという。

これまでに暗号通貨を実際に設立した国は数カ国(主にカリブ海諸国)に過ぎないが、中国や韓国をはじめとする10数カ国が独自の暗号通貨の開発に取り組んでいる。

この研究の目的は、あらゆる種類のデジタル資産取引を管理する共通の規制枠組みを構築することだ。

バイデン政権に近い関係者によると、「財務省」「国務省」「司法省」にも将来的に国内で「CBDC」を立ち上げる際の指示が出される見込みだ。

新たに就任した科学技術庁長官のアロンドラ・ネルソンは、アメリカが「CBDC」を維持するために必要な施設やインフラの評価を行う。指令の発行から6ヶ月以内に、「分散型台帳技術(DLT)」に関する最新情報を大統領に提供するという。

これで「DLT」の実装を含む技術のあらゆる側面が検討される模様だ。

FRB職員の取引禁止令

このように見ると、バイデン政権の暗号資産規制は、中国のようにビットコインの取り引きやマイニングを全面的に禁止したりというようなあからさまな規制にはならないように見える。

暗号資産と「CBDC」に関するグローバルスタンダードとしての包括的な規則の標準化を狙ったものだ。

このような包括的な規則の制定に向けた動きを前にして、さまざまな政府関係機関の動きも活発化している。

まず「FRB」だが、上級職員に株式、債券、そして暗号通貨の取引を禁止する新規則を採択した。具体的には、個別の株式やセクターファンドの購入、個別の債券、機関投資家向けの証券、暗号通貨、商品、外貨への投資の保有、デリバティブ契約の締結、空売りや信用取引での証券購入への関与などの規制だ。

Next: FBIも「暗号資産」部門を設立/バイデンはそこまで厳しく規制しない?

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